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フランス大統領選とフェイクニュース

NHKマイあさラジオ「今週のオピニオン」 5月26日放送

ジャーナリスト 津田大介

 

司会:フランス大統領選挙マクロン候補がルペン候補を破って当選しました。

 

津田:結果から見ると、マクロン候補が66%、ルペン候補が34%ということで、これだけ見るとマクロン候補の圧勝ではあるわけですが、それほど楽な戦いではなかったみたいですね。

 

マクロン候補は最初は当選する確率がそれほど高くない候補だったんですが、途中トップに躍り出てからは、いろいろなフェイクニュース・デマのニュースでネガティブキャンペーンをネットを中心に仕掛けられて、そこの火消が大変だったそうです。

 

司会:そのフェイクニュースとはどういうものだったんでしょう。

 

津田:一番最初に話題になったのは、支持率が急上昇しだしたときに、同性愛不倫疑惑というのがありました。

 

あとはアルカイダのようなテロ組織あるいはロスチャイルド銀行出身なのでグローバル資本主義がバックにいてそこの代弁者ではないか、そういうことも含めていろいろなネガティブな情報が多かったですね。

 

司会:媒体的にはネットでは何がよく使われていたんですか。

 

津田:目立ったのはツイッターですね。

 

4月23日の決戦投票以降にネット上で目立ったのが、ハッシュタグといって同じ話題を議論するための機能があるんですが、そのハッシュタグを乗っ取ろうというキャンペーンで、マクロンさんの機密情報が流れたよと言うハッシュタグがあったり、あるいは私はルペンに投票しますみたいなハッシュタグを大量に組織だって時には機械を使って大量に投稿したんですね。

 

そうすると何が起こるかというと、ツイッターにはトレンドという機能があり、いま世界の人が何に注目しているかがわかるんですね。

 

なので、そういうツイートが大量投稿されると、ツイッターのトレンドというところに入るので、それを一般のユーザーがクリックして見ると、そこにフェイクニュースあるいはマクロンさんへのネガティブな話題がたくさんの人が話しているように見えるんですよ。

 

司会:その話している一人一人は、実在しない機械であることもあるわけですか。

 

津田:そうですね。トランプさんを支持したような、アメリカのオルトライト・オルタナ右翼と呼ばれている人たちが今回のフランス大統領選についてもいろいろ言っていたりとか、ボットといわれる自動的に人が投稿しているように見せかけた機能を使用したとみられる投稿もありました。

 

おそらくそういうことをやって、ツイッターの世界を見ているとマクロンさんは全く支持されていないという架空の世論のようなものが見えるような仕掛けがされていました。

 

司会:仕掛けも巧妙になっているんですね。

 

津田:そうですね。イギリスのブリグジット・EU離脱決定とトランプ大統領の誕生したアメリカ大統領選挙、そういうところでも同じようなことはあったんですけど、徐々にその手法が洗練されてきている、また組織化されてきているように感じます。

 

司会:選挙戦というのは、ネットが重要な役割を担っている時代ですから、ネットには距離的な垣根がありませんから、一国の選挙でも世界規模でそういったことが行われている。

そういう時代になってるんですね。

 

津田:今回の場合、マクロン陣営のいろんなデータをハッキングして、メールとか会計データとかをハッキングして、それをウィキリークスのような告発サイトに流すような攻撃もされていました。

 

司会:そういったなかで、マクロン候補はかなり苦戦されたということですけど、どのように応戦していくんですか。

 

津田:今回のフランス大統領選挙の一番の違いは、これはちゃんと事実確認をしないといけないということで、フェイスブックだとかグーグルあるいはそういうところと提携するジャーナリストの団体、事実確認をする団体ができたんですね。

 

アメリカ大統領選以降、そういう団体ができてネットの情報をその場で正しいかどうかという事実確認をして事実かデマかを即座につぶしていった。

おそらくそれが、相当効いていたと思います。

 

また、マクロンさんの側もハッキングされたてもいいようにあらかじめ偽のデータ・盗まれてもいいようなデータを用意しておいて、それで盗んだ側が混乱するような、そういうスパイ映画のようなサイバー戦争が裏側では行われていたようです。

 

司会:それに勝てたということなんですね。

 

津田:今回はかろうじて勝てたということでしょうね。

ただ、もしかしたらフランス語圏でしたので、言語の壁が大きくて、実際の攻撃は英語のものが多かったんですね、だからそんなに投票行動に影響を与えなかったんじゃないかという話もあるので、今度6月のイギリスの総選挙は英語圏になりますから、そちらの方もどうなるのか注目ですね。

 

司会:日本のことを考えると、同じように、そういった実際にはない世論が形成されて行くということもある時代なんですね。

 

津田ツイッターってみんながみんな同じものを見てるわけじゃないですよね。

テレビであれば、同じチャンネルなら同じ番組を見ることになりますが、ツイッターは自分で入ってくる情報を選ぶので人によって違うんですね。

そういうことも含めて、日本でもおそらくこういう手法は今後入ってくるでしょうし、

日本の場合ネット選挙が解禁されて、選挙期間中も相手に対するネガティブな情報を流すこともできるし、フェイクニュースなどを流してもあまりペナルティとかがないので、今後の総選挙や憲法改正国民投票でもこのようなキャンペーンが行われるんじゃないかと思います。

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