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アメリカがサウジに武器供与のニュースは大ウソだった!?

TBSラジオ「荒川強啓デイ・キャッチ」6月20日放送

ボイス 小西克哉

 

アメリカがサウジに武器供与のニュースは、サウジとトランプ政権が作った大ウソだった

今から2週間前、サウジなど8カ国(当時は6カ国だったんですが)が、カタールと国交を断交したというニュースがありました。

このニュースを思い出していただきたいんです。

カタールというのは、ロシアの次にサッカーワールドカップを主催する国です。

面積は秋田県ぐらいの非常に小さいところです。

サウジの方からカタールに対して断交するといったわけですね。

エジプト、UAEなど様々な国が同調しました。

理由は何かというと、カタールがテロ支援をしているからということを言ってるんですが、実はそんなのは大ウソなんです。

本当の理由は、カタールというのは湾岸諸国で一歩抜きん出た経済国なんですね。

さらにBBCなどのノウハウを生かして、アルジャジーラというニュース専門の曲を作って情報発信もうまい。

こういうことが、サウジからしたら気に食わないということなんですね。

一番気に食わないのは、カタールペルシャ湾を隔てた対岸にイランがあるんですけど、イランとサウジアラビアというのは不倶戴天の仲で、同じイスラムでも、イランはシーア派サウジはスンニー派ということなんです。

カタールはイランとそれほど仲が悪くない。

カタールはイランとは、原油とか天然ガスの油田とかを共有しているので、喧嘩すると、湾岸戦争みたいなことになっちゃう。

なので、あまり対立したくないんですね。

とういうようなことが嫌だから、サウジアラビアは周りの国々に呼びかけて、断交したということです。

ではなぜ、サウジアラビアはあのタイミング、6月6日に言ったのかということですが、ここにトランプが入ってくるんです。

トランプ大統領が5月の終わりに中東歴訪してその後イタリアのサミットに行きました。

最初に外訪の国に選んだんがサウジアラビアです。

そこで、サウジアラビアとの中で打ち上げたのが、大量の武器売却の話なんです。

これはなんだったかというと、日本円で12兆円ぐらいの武器をサウジに売ると。

サウジとアメリカの間で契約が合意したと。

こういうニュースが日本にも伝わりました。

ところが、アメリカの雑誌にある論文が発表されたんです。

これを書いたのは、中東の専門家なんですが、彼が議会関係者とか軍事関係者等の様々な人に取材をしたところ、このアメリカとサウジの武器売却話というのは、全然成立していないと口をそろえてみんなが言うんです。

契約なんかまだ成立してないなら、この話は何なんだ、ということになります。

売却するとされた武器のリストを見ると、まだ作成されていないものが書かれていたり、多くの部分が、オバマ政権の時に契約が成立しているものだったりするそうです。

オバマ政権の時代にゲーツ国防長官がまとめたんですが、アメリカのいつものやり方なんですが、アラブ側に武器を売却するときはイスラエル側にも同等の性能の違う武器を売却するんですね。

本当に、今回サウジに武器を売却するなら、イスラエル側にも同じように売却しないと、イスラエルが起こるはずなんです。

しかし、今回イスラエルは何も言っていません。

つまり、これはオバマ政権の時にすでに済んでいることを発表したに過ぎない、というのが論文の主張なんです。

これは完全なフェイクニュースだと。

サウジも分かってて、これに合意しているんです。

なぜかと言うと、カタールとの断交ができるからです。

つまり、アメリカがこれだけ武器を売ってくれるぐらい仲がいいんだということを見せつけて、その虎の威を借りて、カタールと断交したということなんです。

中東というのは、こういうところなんですね。