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具体策の無い豊洲移転。これなら自民党案と同じだ

TBSラジオ「荒川強啓デイ・キャッチ」6月22日放送

 

「ボイス」山田五郎

東京都の小池知事が、20日に記者会見を開いて、築地市場豊洲移転に関する基本方針を発表された。

今日、市場関係者に説明されているようなんですけど、築地は守る、豊洲は生かす、ということで、市場は豊洲に移転するけれど、築地の跡地も売らないで、5年をめどに食のテーマパーク機能を持つ一大拠点として再開発するんだと。

一旦豊洲に移った仲卸業者さんとかが再開発後の築地に戻って来ることも考えていて、それも支援するというような話なんですよね。

私は前から一旦市場を豊洲に移して、築地を市場を含む複合施設として再開発した後に、市場を築地に戻して、むしろ豊洲の方をたとえば物流センターとして民間に売却するのがいい、というふうに提案してきたんですよ。

だから小池都知事が発表した基本方針は、その案に近かったからよかったじゃないですか、と言われる方もいらっしゃるんですけど、私はそうは思わなくて、逆にすごく残念だったんです。

というのは、築地を具体的にどんな形で再開発するか、ということも明確なビジョンがなかったんですけど、それ以上に、一番肝心な豊洲の安全性をどういう基準に基づいて、どれだけの時間とお金をかけてクリアして、いつまでに移転させるのか、という具体的な日付や数字が、この時点でもひとつも示されなかったというのは、ちょっとびっくりしたんです。

豊洲に完全に移転しちゃうにせよ、仮住まいで一旦移るにせよ、とにかく豊洲に移転するんだから、まずはそこをはっきりさせないと何も進まないじゃないですか。

でも20日の発表では結局のところ築地の跡地も売らずに再開発することを考えます、という新たな検討項目を増やしただけで、今すぐ解決すべき目の前の問題に対しては、何ら解決していないんですよ。

だから、市場の業者の皆さんの不安は、説明に行かれてますけど解消しないんじゃないかと思うんですよね。

今まで何ヶ月もかけて、都の専門家会議とかプロジェクトチームとかが、たくさん議論を積み重ねてきて、判断材料は揃ってると思いますよ。

6月11日には専門家会議が、盛り土がなかった問題を受けて、盛り土に変わる安全対策を何案か、それぞれに工期と工事費も示しながら提案してるわけですね。

しかも同時に、それでもなお完全に無害化するのは難しいという結論を出しているわけですよ。

そうなったら、あとは、完全に無害化するのは難しい、じゃあどの時点までの安全基準がクリアされた時点で移転するのか、まずこれを決めなきゃダメですよね。

じゃあその安全基準を実現するために、いくつか提案されている候補のうちどの対策をとって、どのくらいの期間とお金がかかるか、これを言わなきゃダメでしょ。

結果として、いつ移転するか、最速で来年の5月というのが出てましたけど、それならそれではっきりそれを言うべきだと言うふうに思うんですよ。

20日の会見では、そこのところはなかったですよね。

さらに言えばですよ、豊洲の新市場には土壌汚染以外にも、たとえば床の強度だったりとか海水が使えるとか使えないとか、そういった施設に関する不安もいくつか指摘されていましたよね。

そう言う問題は全てクリアになったのか。

なってないのであれば、これもどういう対策をいくらかけていつまでにやるのか、これも言うべきだったと思いますよ。

もう今の段階で決まってていい話だと思いますよ。

専門家会議が、11日に発表した安全化対策案、来年の5月が最短と小池知事はおっしゃったのは、一番簡単な工法を取ると工期が8ヶ月だからなんです。

でも、より完全な、特殊シートとコンクリートで地下を覆う工法の工期は22ヶ月ってなってんですよ。

仮にこの工法を採用すれば、すぐに工事を始めても完成するのは2019年の春ですよ。

そうすると、そこから築地を取り壊してって、オリンピック関連の工事との兼ね合いを考えるとギリギリですよ。

だからと言って、オリンピック関連の工事に間に合わせるために安全対策をこれでいいやって追うのは、本末転倒じゃないですか。

だからこそ、ここは1日も早く決断すべきだと思います。

一方、築地市場の跡地の再開発をどうするかに関しては、これは一旦豊洲市場に移って様子を見てから議論して決めていっても遅くはないとは言えるんですけど、それでもこの築地の跡地を再開発する理由というのが、豊洲市場が年間100億円ぐらいの赤字が出ると、それを埋めるため、というふうに説明してるわけですよ。

それを言ってしまった以上は、じゃあ築地で年間100億以上の利益が得られるというビジネスモデルをもうちょっと具体的なかたちで提案してもらわないと不安ですよね。

下手すると、豊洲の赤字を埋めるどころか、築地の運営も赤字になったら、ダブルで赤字抱えちゃうよ、みたいな。

だから、築地でやるとこれだけ豊洲の穴埋めができますというのをもうちょっと具体的な数字とかプランで見せてもらわないと、不安ですよね。

私が前から言っている個人的な意見ですが、最初から年間100億円の赤字が予想されている時点で豊洲への移転計画って破綻してると思うんですよ。

100億の赤字が出るとわかっているところに、何で移転するんだってなるじゃないですか。

さらに、小池知事も指摘されてましたけど、豊洲でガタガタやっている20年間で中央卸売市場ってものの役割自体が変わってきていますよね。

今、物流ってものも変わってきてる。

そういう変化を考えると、もしかしたら豊洲市場は大きすぎるんじゃないか。

赤字はむしろ年々膨らんでいくかもしれないということも十分考えられるわけですよ。

だからこそ、現時点でこれからの未来を見据えて、中央卸売市場のあり方自体を根本から見直した上で、じゃあよりコンパクトで機能的な市場っていうものを築地に再整備して行こうと。

それで、むしろ豊洲の方を食品以外の物流センターとして民間に売却した方がいいんじゃないかと、個人的には思いますけどね。

すでにかかった6千数百億、これは多分取り戻せないですよ。

豊洲を売ってもね。

だけど、それはそこで損切りしておいた方が、長い目で見れば結局は負担を減らせるんじゃないかなと思いますけどね。

話を戻しますと、築地に戻るにせよ、戻らないにせよ、とにかく一旦は豊洲に移転することになった。

これは、自民党が元から言っていることと変わらないわけですよ。

だから早く、ちゃんと具体的な数字を出さなければいけない。

これは別に小池知事がやらなくても、自民党がやってもいいわけですよ。

自民党が、ウチはこういうやり方で進めると言ってもいいですよ。

都議会で多数を取れば、二元代表制ですからね。

都議会主導でやっていきますで。

自民党豊洲問題で明確な方針を出してくれば。

むしろ出して欲しいですよ。

小池さんは小池さんで、いや私はこうします、それを都議選の論点にして欲しいですよ。

築地再開発案にしたって、自民党だってここに乗っかって来たっていいわけですよ。

ウチはこういうプランを持ってますと。

これだったら豊洲の赤字こうできますって言って欲しいですよ。

自民党都民ファーストの会も、具体的な数字で出してもらって、そこを論点にしてもらいたいな、と思いますね。

小池知事のあの案というのが、一部では大岡裁きなんて言って評価した人がいるみたいだけど、とんでもないですよ。

漠然としすぎです。

おそらく自民党都議連にとっては巻き返しのチャンスだと思いますよ。

小池さんがこの時点で出してないものを先に出して、ウチはこうしますと。

豊洲移転これまでにやります、築地こうします、ってはっきり言ったら立場逆転しますよ。

いずれにせよ、ちゃんとした数字を出してもらって、それを論点にして選べるようにして欲しいなと思います。