東京都議会議員選挙、今日告示 各党は国政選挙並みの体制で臨む
TBSラジオ「荒川強啓デイ・キャッチ」6月23日放送
コメンテーター:宮台真司
東京都議会の127議席をめぐり、東京都議会の都議会議員選挙が今日告示されました。
改選前は、都議会自民党が第1党で57議席を占めていますが、小池知事率いる都民ファーストや連携する公明党など小池知事を支持する勢力で過半数の64議席を確保できるかどうかが最大の焦点となります。
荒川:都議会議員選挙には、自民党、公明党、共産党、民進党、都民ファーストの会、東京生活者ネットワーク、日本維新の会、社民党、無所属、諸派合わせて250人以上が立候補しております。
市場の移転問題に加えて、国政の加計学園問題も投票行動に影響しそうなんですが、宮台さんはこの都議選、どのように見ておいでですか。
宮台:民進党がおそらく議席を失う、あるいはせいぜい1議席で、場合によっては蓮舫さんの責任問題になって、蓮舫さん退陣。
また、第一、前回民主党に入れた人が民進党に入れることがほとんどありえない。
沖縄では辺野古移設に賛成し、TPPに賛成し、原発再稼働に道を開いたのはまさに前の民主党政権だったわけだからね。
つまり、野田さんだよ、はっきり言うと。
復興に関する図式がめちゃくちゃになったのも、野田さんのせいだよ。
荒川:民進党はそういう事情もあるんですが、今回は自民党と都民ファーストの会が、どういう投票行動に結びつけるか。
宮台:民進党に入れてた人の多くは、都民ファーストの会に入れることは間違いないだろうね。
なので、かなり追い風になります。
民進党の不人気が追い風になります。
そして、自民党にも逆風が吹いていますから、それも都民ファーストの会には追い風になります。
読めないのは、築地移転問題で、なんと言うか喧嘩両成敗のような玉虫色の解決をしたことがどうなるか、と言うことなんですけど、関心がある程度低下している所での決着ですから、あまり影響はないと思います。
荒川:市場問題は影響少ないですか。
宮台:少ないと思いますね。
荒川:でも小池さんが発言した、両方をなんとか生かそうとすると、ただひとつはっきりしないのは財源はどうするんだろうなと言うことなんですけど、その辺も知りたいところで、そこが都民の関心のあるところだと思うんですが。
宮台:中央政治がちゃんとしているならその辺がすごく目立つんだけど、中央政治がほとんどデタラメなんでですね、この程度のことはハレーションで、あまり関心の対象になりにくいと思います。
荒川:中央政治というところでいくと、国会の終わり方といい、まだ課題を残しているという、何かモヤモヤしたところがあるんですが、これは都議選に影響を与えると考えますか。
宮台:影響を与えると思いますね。
人々は、東京都をどうするかという関心で投票する人もいるし、誰が知事にふさわしいかという関心で投票する人もいるだろうけど、それなりに多くの人が、どういう政治的考えでいるかを表明したいと、有権者の声として中央政治にも届けたいと考えて投票する人も当然いるわけです。
それが合理的な投票行動の動機付けですからね。
そういうこともあって、昔から東京都の議会選挙は大きな影響を国政に与えるというわけですね。
あと、せっかく18歳から選挙権を得たので、有権者教育を義務教育の中にも織り込むべきだね。
人を選ぶという人もいるだろうし、政党を選ぶ人もいる、そうではなくて政策を選ぶという人もいるでしょうね。
そうではなくて国政を含めたある種の態度表明、意思表明、という人もいるでしょうね。
実はどれもありなんだけど、若い人たちの多くは、僕の知る限りでも、どこに関心を持って投票していいのかわからないという人が多いです。
これはやはり、有権者教育に不徹底によるものだよね。
いま、政策に関心を持てなくても、別のことに関心を持てれば、マシだし、あるいは何かに関心を持つということは、別のことに関心を持ちにくくなるということと表裏一体だけれど、どういうことに価値を持つのがいいのか、あるいは関心を持つのがいいのか、ということをちゃんとした教育の中で、個人個人が判断できるような力を持った方がいいね。
荒川:たった1票、自分の1票がそんな大きく世界を動かすとは思えない、という人もいるんですが、とんでもなくて、その1票が実はえらい大きなうねりになっているんだってことをわかって欲しいですよね。
宮台:強啓さんのおっしゃられた方が多いと、どうしても組織的な動員票が力を持ってしまって、その結果国政があるいは都政が歪んでしまうんですね。
何度も起こったことなので。
その組織的動員に一般ピープルが負け続けるようなことがあってはならない。
そういう意識を持ってもらいたいですね。