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文科省の前川前事務次官が会見 荻上チキ✖️木村草太

TBSラジオ「荻上チキSession-22」6月23日放送

ゲスト:首都大学東京教授・憲法学者 木村草太

 

学校法人加計学園獣医学部新設計画をめぐる問題で、文部科学省の前川喜平前事務次官は今日(6月23日)、日本記者クラブで記者会見し、安倍総理大臣に、説明責任を果たすよう求めました。

 

前川前事務次官:官邸の最高レベルが言っていること、あるいは総理のご意向であるという発言が何を指しているかと言えば、今治市における獣医学部の開設時期を平成30年4月にしてほしいと、この1点なんですね。

このことに言及している言葉であるということは、文書を読んでいただければ明らかであります。

またそれが、加計学園のことであるということは、これは関係者の間では、事実上公然の共通理解であったということが言えるわけであります。

こういった状況を踏まえてですね、官邸あるいは内閣府におかれては、この加計学園獣医学部新設を認めるに至ったプロセスについて、やはり国民に対して、本当の意味での説明責任を果たしていただく必要があるだろうと思っていますし、そのためには、必要があれば第三者性の高い組織を設けて、その政策決定プロセスを検証するというような方法も考えてしかるべきではないかと思っています。

月曜日の記者会見で総理はですね、何か指摘があればその都度真摯に説明責任を果たしていくとおっしゃってますし、また国民の皆様から信頼が得られるよう、冷静にひとつひとつ丁寧に説明する努力を積み重ねていかなければならないとも述べておられます。

総理自ら、先頭に立って、説明責任を果たしていただきたいと、私は思っている次第であります。

 

さらに前川氏は、安倍総理の意向を伝えた萩生田官房副長官の発言とされる文書について、「精査の必要があるが、書かれている内容はほぼ事実だと思う」と述べ、萩生田氏について、「何らかの関与があった可能性が高いのではないか」という見方を示しました。

また、臨時国会召集の要求に応じない与党の姿勢をめぐって、前川氏は、「コメントする立場にないが、証人喚問があれば応じる」と述べました。

 

荻上チキ:加計学園問題に関してまだまだ議論が続いておりますけど、まず木村さんに教えていただきたいんですが、野党が臨時国会の召集を求めています。

これに対して与党が応じないということなんですけど、野党がこういったかたちで臨時国会の召集を要求するということの意味、あるいはその権利というものはどう考えればいいんでしょうか。

 

木村草太:憲法53条で内閣は国会の臨時会の召集を決定することができる内閣の国会召集権があるとしたうえで、いずれかの院の総議員の4ぶんの1以上の要求があれば、内閣はその召集を決定しなければならない、ということで、要するに少数派でも4ぶんの1の議員から要求があった時には、内閣は臨時国会を召集しなくてはいけない、という規定が憲法にあるわけですね。

ただこの規定については、憲法上は何日以内という規定がないので、たとえば通常国会が迫っている年末の要求の場合には通常国会で答えたりするということも、過去ありました。

ただ今回は、通常国会は来年になりますから、こらはやはり早急に応えないと憲法違反になるということは否定できないと思います。

 

荻上チキ:ただこれが何日以内かという明確な規定はないということになるわけですね。

 

木村草太:何日以内という規定はないですが、たとえば自民党草案では確か20日以内か何かという数字にしようという案が提示されたりしていて、それはひとつの目安になるのかなと思いますけれども、やはりこれは別に書いてないからいつまでも伸ばしていいという趣旨ではないのは明らかですから、1ヶ月ぐらいのうちに召集しないと違憲だという意見は強くなってくると思いますね。

 

荻上チキ:野党は、閉会中の審査についても求めていますが、これについてはどうお感じになりますか。

 

木村草太:閉会中審査ということですが、何か法律を作るということだと閉会中にひとつの委員会だけ開くというかたちでは対応できないですけれども、今回はさしあたって行政の監視、どういう事実があったかを認定して、調べていくということなので、そういう意味では別に閉会中審査でもある程度目的を達成することができるということでしょう。

 

荻上チキ:そういったなかで集中審議というものができれば、いろいろな事柄が明らかになるだろうということで、野党側が儲けることを要求している、ただ与党はそれに対して随分と消極的な姿勢ですが、ここにきて公明党は説明の場を設けていいんじゃないかとも発言していたりはします。

 

木村草太:普通に考えるとそうですよね。

やはりまだまだ分からないこと、聞かなければいけないことがたくさんあって、政府の側から関与していないという一方的な宣言があるだけですから、今回の事案というのは、何故加計なのかという加計学園だったのかとちゃんと説明されないといけないので、今回、獣医が足りていたのかということと、本当に獣医学部を増やすとして何故加計学園を選ばなければいけなかったのかということについての合理的な説明がなされない限りは、みなさん納得できないということですよね。

 

荻上チキ:国家戦略特区という格好でなければダメだった理由など、いろんなポイントが出てくるわけですね。

さて、今日はそんななか、元文部科学省の前川前事務次官が日本記者クラブで記者会見をしまして、先ほども紹介しましたけれど、結構長めに発言したほか、記者たちの質疑応答に対しても、いろいろと丁寧に答えていました。

今日はその模様をいくつか紹介したいと思います。

まずは、前川前事務次官が会見の中で今回の問題についてどういったことが重要なのかというスタンスの表明をしています。

そちらの方をお聞きください。

 

前川前事務次官文部科学省は、最初は問題になっている文書についてですね、存在が確認できないという調査結果を発表したわけですけど、その後、国民の皆さんの声に押されてですね、いわゆる追加調査を行なって、その文書の存在についても認めました。

これによって文部科学省は一定の説明責任を果たしたと思いますし、私は文部科学省の出身者としてですね、文部科学省がなんとかその追加調査を行うことによって、隠蔽のそしりから免れたということは嬉しく思っています。

松野文部科学大臣も、大変苦しいお立場だと思っておりましてですね、その苦しいお立場の中で、精一杯誠実な姿勢を取られたのではないかと思っております。

その点については、敬意を表したいと思っています。

文部科学省が存在を認めた様々な文書の中にはですね、私が在職中に実際に目にした物、手に取った物、もございますし、また私自身は目にしたことのない物もございます。

しかし、いずれも私が見る限り、その作成の時点で文部科学省の職員が実際に聞いたことあるいは実際に触れた事実、そういったものを記載していると、いうふうに考えておりまして、ほぼ100%その記載の内容については間違いないものだというふうに評価しております。

こういった文書を、それぞれ現職の職員も行政の歪みを告発したいという気持ちからだと思うんですが、この現職の職員たちの勇気については、評価したいというふうに思っております。

しかし一方、記載されている事実はですね、多くの場合内閣府との関係、あるいは総理官邸との関係をめぐるものでありまして、これらの事実関係につきましては、様々な理由をつけて、官邸あるいは内閣府は、そに事実関係を認めようとしていないという状況にあるわけであります。

そういった姿勢は、私から見ればやはり不誠実であると言わざるを得ないと思っておりまして、真相の解明から逃げようとしているというふうに評価せざるを得ないと思っております。

特に、文部科学省の文書の中に出てまいります、「官邸の最高レベルの言っていること」という文言とかですね、あるいは「総理のご意向」という文言、こういった文言を含んだ文書がございますけども、いわば自分の口から発した言葉を自ら否定していると、これはちょっとあり得ない話ではないかというふうに思っておりますし、それから規制改革全般をスピード感を持って進めろという、総理の御意志を反映したものだと、こういう説明をしようとするのもこれはかなり無理がある説明であると思っておりまして、記載事項のように取り違えるはずがないと。

 

荻上チキ:というわけで、前川さんはまず文科省の調査については誠実であると、それに対して内閣府の方がまだちょっと消極的な姿勢については、しっかりと調査をしてほしいというようなことを言っていました。

この間文科省の現役職員が声をあげたことを評価しているということなんですけど、この言葉の背景には、実際に声をあげると罰せられてしまうのではないか、怒られてしまうのではないかということで、萎縮してしまう可能性もあったわけですよね。

公益通報者が実際に守られない可能性もあったわけです。

しかしながら、そういった中でも声をあげることが出来た。

木村さん、公益通報者を実際に保護しないと、なかなか情報は出てこないと思うんですけど、この間保護が約束されるような状況になるかというと、微妙な発言が閣僚からも出ていましたね。

 

木村草太:公益通報者制度の前に、まず今回問題なのは、国家公務員法上の機密漏えいの禁止に当たっているかどうかということです。

判例上はですね、単に形式的にマル秘扱いとか秘密扱いにされているだけでは、秘密と保護するに値するとされるわけではなくて、実質的に保護しなければいけないような情報を漏えいした場合にのみ、この国家公務員法に違反すると、そういう解釈になっておりますのが、最高裁の解釈ですので。

 今回の一連の事件というのは、明らかに国民に知らせるべき情報ですから、今回の情報が実質秘であって漏らしたら、これは国家公務員法違反だと評価されたことは、これはあり得ないだろうと、専門家からの指摘が相次いでいるところです。

ですから、国家公務員法違反だ公務員法違反にならないので、公益通報者制度以前に秘密ではないから、というふうに言って保護していくべき論点だと思いますね。

 

荻上チキ:しかも、内閣の方が、そして大臣の方が、「徹底的に調査をしろ」と言っているわけなので、その段階でむしろ公表してくれっていうゴーサインがかっているということになるわけですよね。

そうした中でですね、こうした一連のやりとり、それから出てきた文書から、一体何が見えるのか、どういった解釈ができるのかということについても、前川前事務次官が発言しています。

 

記者:やはりこの問題のですね、総理周辺のキーパーソンは一体誰なんだと。

誰が物事を進めてですね、中心的に動いたのかと、いう整理をしていただきたいんですが。

 

 前川前事務次官:私の目から見ますと、泉総理補佐官がですね、一番のキーパーソンだと思いますね。

 

記者:それはどうしてですか。

 

前川前事務次官:まず私に直接働きかけがあったのは泉さんですね。

9月の上旬のことでございますけども、泉総理補佐官に、官邸の執務室に呼ばれましてですね、そこでこの特区における獣医学部解禁といった課題について、文部科学省の対応を早くしてほしいというお話がございました。

その際に、総理は自分の口から言えないから私が代わりに言うんだと、こういうお言葉もあったわけで、総理に代わっておっしゃってると、いうことであればですね、これはもう一番総理の御意志に近いところからお話が出てるというふうに思われます。

10月21日の日付の、萩生田副長官のご発言の内容を見てもですね、萩生田さんは、泉さんと話をした結果として、その結果を文科省に伝えています。

したがって、やはり情報発信源になっているのは、泉さんではないかと、私は泉補佐官が一番全体のシナリオも書いて、全体の統括もしている、そういう立場にいらっしゃったんじゃないかというふうに思っています。

 

記者:そうなると、文書の中によく出て来る萩生田副長官の役割は一体なんだったんですか。

 

前川前事務次官:これはですね、文部科学省から見た時に、萩生田さんは、大変頼りになる文教族の先生なんですね。

10月の初めの頃の文部科学省の気持ちとしては、実質的に関与をしてくれない農水省厚労省を引き込みたい、それからものすごく性急にことを進めようとしている内閣府に対してですね、もう少し時間の余裕を持ってゆっくりと検討する時間をもらえないかと、こういった気持ちを持ってたわけで。

そのことを、萩生田副長官のところに調整してもらえないかと頼みにいっているわけですね。

農水省厚労省を引き込んでほしいと、調整してほしい。

 

記者:それは加計ありきで。

 

前川前事務次官:暗黙の前提としては、やはりその時点であったと思います。

それにしても、やはり農水省厚労省が入ってくれないと、きちんとした説明つかないし、それからどうしても30年4月開学というのは、かなり無理のある日程であると。

そこのところの調整を、萩生田副長官にしてもらえないかという気持ちは、文部科学省は持っていたわけですね。

これは大臣・副大臣も事務方もみんな持ってたと思います。

その状況は、10月7日のペーパーには見て取れるわけです。

10月7日のペーパーというのは、私が実際に目にしておりましたし、現実に存在しているペーパーですけども、文部科学省の追加調査でも、それは存在が確認されていないんですね。

いないんですけど、私は実際に見ておりますから、私が引用することには問題ないと思うんですが、その10月7日のペーパーの中では、萩生田副長官は、自分が調整すると、農水省の協力が必要だなということも分かってくださっているし、30年4月は早いんじゃないか、無理だと思うともおっしゃってる。

で、私の方で整理しようとおっしゃっているんで、この萩生田さんの官房副長官としての調整機能に期待していた。

 

荻上チキ:というわけで、前川さんはですね、この会見の前段で、こういった文書を当時言ってないことを担当の官僚が言ったかのように書くという、そうした必然性というか必要性というのもないので、こうしたように書かれているということは、書かれている内容については、事実だろうと、いうことを言っているわけですね。

そんな中で、泉総理補佐官それから萩生田官房副長官の名前が出て来た。

ただし、萩生田さんと泉総理補佐官はその発言があったことについては否定をしていると、こういうことになります。

木村さん、双方発言が食い違ってはいますけども、前川さんは一連の流れはこういうことだということを、今回会見で発言しました。

そうした発言を今度は証人喚問や参考人招致してくれと野党は求めています。

このあたりの構図についてはどう感じますか

 

木村草太:やはりキーワードは説明責任ですが、説明責任というのは、相手が国民がちゃんと納得できる説明ができるかということが問題なので、まずいくら言葉を並べても、それだけでは意味がないわけですね。

また、文科省側は、いろいろ書類が残っていて、言っていることに対して、否定している側は、例えばそれを否定する紙とかがちゃんとあるのかということですね。

紙とか録音とかがあって、こういう経緯で決めたことなんだから、萩生田さんは関係ないですよね、とかっていうことが言えるような書類とか録音が出てくれば別ですけど、何も物がない、紙がないところで、紙がある側と紙がない側のどっちを信用するかと言われたら、非常に紙のない側は不利ですよね。

ということを今私たちは見ているわけです。

 

荻上チキ:実際内閣の側はそうして文書が残ってないということが現段階では言ってるわけですよね。

確か、あれは野党自由党などが内閣府の官僚から聞き取りをする際に、実際そうした文書はないんですか、メモって取らないんですか、って言ったら、そういったメモはございませんと。

その時は山本太郎議員が、今内閣府の人手を上げて、と手を上げさせて、手を上げたらみなさんペンを持ちながら手を上げたそうですね。

要は、その場でもメモを取ってるから、今メモとってるでしょ、そんなにメモ魔なのになんでそのメモを今回は取ってないことになるんだ、という突っ込みを入れたりしていましたね。

だからそのメモが本当にないのかどうかも含めて、ひとつの論点ということになります。

それから、今の記者会見、記者の人が追加で何度も聞くことによって、より前川さんの話を掘り下げることができた。

会見はかくあるべし、というような、そんな姿のような気もするんですけど、ちょっとこの加計学園の問題だけではなく、今の政権とメディアとの関係性についても、前川さんは時間を取って少し発言をしていました。

大事だと思いますので、ぜひお聞きください。

 

前川前事務次官: この獣医学部をめぐる問題について私は、この一件を通じて、全く別の問題として、認識を新たにしたのがですね、国家権力とメディアとの関係ですね。

ひとつは、私に対する個人攻撃だと思われる記事をですね、5月22日の読売新聞に掲載されました。

これはもちろん私としては不愉快な話でございましたけれど、その背後に何があったのかということは、これはきっちりと、これはメディアの関係者の中で、検証されるべき問題だというふうに思います。

私は個人的には官邸の関与があったと考えています。

それから、この加計学園の関わる文書の信憑性でありますとか、官邸からの働きかけといった問題について、私に最初にインタビューを行なったのはNHKです。

ですが、その映像は何故か放送されないままになっております。

未だに。

また、この真相を表す内部文書の中でも非常に決定的なものであります、9月26日の日付付きの文書がございますけれど、「官邸の最高レベルが言っている」という文言が入っている。

これは朝日新聞が報じる前の夜にNHKは報じていました。

しかし、核心の部分は黒塗りにされていましたですね。

これは何故なんだろうと思います。

それから、報道番組を見ておりますと、コメンテーターの中にはですね、いかなる状況証拠や文書が出てきたとしても、官邸の擁護しかしないという方がいらっしゃいます。

森友学園の時もそういうことが繰り返し行われていたわけですけど、森友学園の問題で官邸を擁護するコメントを出し続けた方の中にはですね、ご本人の性犯罪が検察警察によってもみ消されたのではないかという疑惑を受けている方もいらっしゃるわけであります。

こういったことを踏まえて考えますとですね、私は今の日本の国の国家権力とメディアの関係については、非常に不安を覚えるわけであります。

国家権力と第四の権力とまで言われるメディアの関係をですね、国民の視点から問い直すという必要性、またそのメディアの方々の中で、自浄作用が生じることをですね、私は強く望みたいと思います。

 

記者:5月22日の付の読売報道について、官邸関与があった、というようなこともおっしゃられた。

その根拠は何ですか。

 

前川前事務次官:もともと私がそういうバーに出入りしているということについては、官邸は承知しておられました。

杉田副長官からご注意を受けたことがあるわけなんです。

まず最初に官邸で知っていた情報だということですね。

それがまずひとつです。

それから、読売新聞の記事が出たのは、5月22日でございますけれども、20日と21日両日に渡って、私の私的な行為について、活動について、報道するつもりがあるんだと。

ついては私のコメントが欲しいと、こういうアプローチが5月の20日と21日にありました。

私はそれは答えませんでした。

正直申し上げて、読売新聞学園のそんな記事を書くとは思いませんでした。

同じ21日なんですけど、一方で、先程来名前が出ています泉総理補佐官からですね、文部科学省の某幹部を通じて、泉さんが話をしたいと言ったら応じるつもりはあるかと、こういう打診がございました。

私はちょっと考えさせて欲しいと言ってそのままにしておいたわけです。

私はその報道が出たとしても、それは構わないというつもりでおりましたんでですね、その報道が出ることについて何かそれを抑えて欲しいと官邸に頼もうというようなことは思っておりませんでしたので、私はこの読売新聞からのアプローチと官邸からのアプローチは連動してるというふうに感じたわけですね。

それがひとつの根拠なんですけども、もしこういうことが私以外の人にも起きているとするならば、それは大変なことだと思います。

監視社会化とかですね、あるいは警察国家化というようなことがですね、進行していく危険性があるんではないか、あるいはさらに、国家権力が私物化されている、第四の権力と言われているメディアまで私物化されてと、いうことになっていったらですね、これはもう日本の民主主義は死んでしまうと、その入り口に我々は立っているのではないかという危機意識を私自身も持ったんですね。

 

荻上チキ:というわけで、今回の問題をメディアはクローズアップして、検証していく立場にあるわけですけども、そのメディアの中でも色が色々あったり、コメンテーターにもカラーがいろいろあったりする中で、権力を追求するというよりは、むしろ擁護をする、あるいは連動している場合もあるんじゃないかという疑念が今出てきている。

そうした疑念は、日本の民主主義を殺してしまうんじゃないかということを、前川さんはおっしゃってました。

木村さんはこの一連の発言、メディアの動きいかがですか。

 

木村草太:前川さんがおっしゃったのは、まず読売の取材があって、そのあと官邸からアプローチがあって、官邸に記事を潰してくれと言うと、じゃあその代わりお前は何も言うなみたいな取引をしようとしたんじゃないかということを、ほのめかされていたということですよね。

それはやっちゃダメですよね。

官邸としてはもちろんのことですけれども、いわんやメディアというのは、前川さんもおっしゃるように権力から独立をしていなくてはいけないわけで、もちろん権力が常に悪いことをやってるわけではないので、いいことをやっていたらちゃんと報じなければいけないし、国民もそれを評価しないといけないですけれども、適正な距離というのを保っておかないと、これはやはりきちんとした国民の評価をすることができないわけです。

共謀罪の時も相当メディアの側が官邸が出してくる嘘を見抜けていないなというようなことがたくさんありましたから、これはやはり危機的な状況にあるというのは、前川さんの認識は私も共有するところですね。

 

荻上チキ:官邸に近いということを売り文句にするようなコメンテーターもいたりしますけど、この近さがほぼ代弁者になっていることが、ロールプレイングとしての悪魔の代弁者じゃなくて、ベタなものになってしまったらジャーナリストではなくなってしまっているところがあるので、こういった点も含めて今回の加計学園の問題あるいは森友学園他の問題も含めてメディアのチェックの仕方というものを今回の一件もひとつのケースとして見て欲しいというメッセージもあったわけですね。