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新聞読者の傾向が見える珍しい調査

TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ」6月26日放送

トークファイル」山田恵資

 

山田:いま、森友・加計・共謀罪と安倍政権の強引な政権運営が指摘されていてですね、最新の新聞などの世論調査でも、安倍内閣の支持率が軒並み10ポイントほど下がっていると、これは先週のニュースでお知らせしたことですけど、この支持率についてですね、各新聞の読者別の傾向を探るという、ちょっと珍しい調査がでました。

これは、報道系ベンチャーのJX通信社というところが今月の17,18日の2日間を使ってやったんですけど、新聞読者別安倍政権の支持率という名目なんですが、

普通新聞社などの世論調査では、まず無作為に質問する人を選んで、ランダムに選んでですね、固定電話と携帯電話で支持率を調査しています。

ちなみに、時事通信では、対面調査をしているんですけど、そこから自社の新聞の読者も、他社の新聞の読者も、含まれている中で、調査を進めているわけなんですけれども、そうしますと大体平均的な国民の声にはなるんですけど、場合によっては、質問の仕方で多少誘導があるという指摘もあります。

ただ、ほぼ概ね傾向は出て来ると。

今回も下降傾向は同じように出てきたわけですけど、一方でこのJX通信社の調査といいますのは、無作為で選びところまでは同じなんですけど、同時に「あなたは何新聞を読んでいますか」ということを合わせて調査しています。

その上で、読む新聞別での政権の支持率を出すということができるわけなんですけど、ですからいわゆる世論調査というよりは、新聞社別読者の支持不支持傾向調査といってもいいと思うんですが、その結果ですね、私も驚いたんですけど、非常にくっきりとした特徴が出ました。

産経新聞ですけど、産経新聞を読んでいる読者の方は、政権を支持する人が86%、支持しないが5%。

一方で、これまた極端なんですが、東京新聞の読者で、支持すると答えた人は5%、支持しないが77%。

確かに産経は政権寄りと言われてますが、政策によるんですけど、たとえば外交では安倍政権に支持的な立場です。

東京新聞は、政権に批判的と言われているわけですけど、その新聞の論調がここにも現れていると。

他で見ますと、毎日新聞の読者なんですけど、これは支持するが9%、やっぱり少ないです。

支持しないが59%です。

それから朝日新聞も、支持するが14%、支持しないが70%でですね、支持率がからり低いです。

一方で読売新聞の読者は、支持するが43%、支持しないが29%。

日経新聞は、支持するが41%、支持しないが38%です。

ですからやはり、全体的に安倍政権の政策に対して、好意的と言いますか、支持する傾向の強いところに読者も指示が集まっているということなんですね。

定点観測ではなくてまだ一回の調査なので確定的なことは言えませんけども、この調査を見る限りはですね、報道姿勢と政権支持率にはひとつの相関関係があるということだと思うんですが、新聞を読み比べて見ますと、新聞の論調とともにですね、たとえば法律の呼び方も変わってくると。

典型的なのが、組織犯罪処罰法というのがあります。

これは、強行採決した翌日の紙面を見て見ますと、共謀罪法成立としたのが、毎日、朝日、東京、日経と。

批判的な姿勢な訳ですね。

それに対して、テロ等準備罪法成立としたのが、読売、産経。

ということですから、やはり先ほどの読者別の支持率調査と、この書きっぷりは、社説もこれに連動してるんですけど、やはり裏付けられてるなという感じはいたしますね。

 

森本:どうなんでしょうか。

こういう傾向というのは、かなりこのところ強まってきているんでしょうかね。

 

山田:読者が自分の好みの新聞の論調と合わせていくのはあると思うんですね。

かつては、新聞はどの新聞を読んでも同じだという時代がありましたけど、今は毎日新聞を読み比べて見るとですね、やはり新聞によってかなり違うなということを感じるわけです。

ですから、一紙の新聞を読むということが今まで中心でしたけど、最近はネット等でいろんな新聞を見ることができるようになっていますので、そういう意味では、新聞をお取りになるのは一紙だったとしても、いろんな新聞の論調を見ながら、ご自身の立場を決めるということも、大切なことなのかなと思います。

そもそも新聞を読まない方も増えているというのもありますけど、ただそういう方はネットでおそらく情報を得ているでしょうから、ネットはいろんな新聞が混在しているケースがありますので、ですから何れにしても、一紙だけになると、判断が狭くなってしまうということになるかもしれません。

 

森本:今回の調査を見ると、社会の傾向というものも、見えてきますか。

 

山田:世論調査そのものが、今まで新聞社ごとに違うということがあれば、これがひとつのベースなんですけど、にもかかわらずですね、全社が一致するケースがあって、これはまさに今回の10%の支持率低下のケースなんですけど、となりますとこの支持率低下は裏から見ても表から見ても本物であると。

こういう風にも読み取れるわけで、なかなか今回の調査は、ベースにしながら、調査を読み込んでいくのも、単なる数字だけでなく、深く傾向を見ていく上で、大事だと思います。

それから、世論調査で、新聞社別に少しずつ、傾向が違うなと、数字が違うなと、いうことがあると思うんですね。

確かに傾向は同じだけど、これは推測なんですけど、お答えになる側がですね、そこで一回取捨選択してですね、自分の新聞と合わなければ応えないということになると、これは世論調査にも影響を与えるのかなと思います。

そういうことも考えさせてくれる調査結果でした。