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加計学園からの献金報道。下村氏は全面否定

TBSラジオ「荻上チキ・Session-22」6月29日放送

 

今日発売の週刊文春自民党の下村幹事長代行が、学校法人加計学園から200万円の違法な献金を受けた疑いがあると報じたことについて、下村氏は記者会見し、「全くの事実無根だ」と疑惑を否定しました。

週刊文春は、下村氏が文部科学大臣を務めていた2013年と2014年に、下村氏を支援する政治団体が開催したパーティーをめぐって、下村氏側が加計学園に、合わせて200万円分のパーティー券を購入してもらったにもかかわらず、政治資金収支報告書に記載していないと報じています。

これに対し下村氏は、加計学園の秘書室長が2013年と2014年に100万円ずつ持って来たことは認めましたが、個人や企業で合わせて11人から預かって来たもので、闇献金という記事は事実に反すると説明、規正法では20万円を超えるパーティー券の購入は収支報告書に記載するよう定められていて、下村氏は「11人はいずれも20万円以下の購入のため、法律上問題はない」としています。

 

荻上チキ:それではこの、自民党下村博文幹事長代行の疑惑について、政治資金などに詳しい日本大学教授の岩渕美克さんにお話を伺います。

今回の疑惑なんですけど、週刊文春によればどういった献金が疑惑として上がってるんでしょうか。

 

岩渕美克:1件20万円を超える政治献金は、政治資金収支報告書に記載の義務があるわけですね。

それが、実際には記載していないけど、事務所内の内部文書では、100万円を加計学園から献金されたと書いてあった。

この齟齬と言いますか違いの部分で、違法性があるのではないかというのが報道の意図と言いますか、そういった疑惑があるという報道ですね。

 

荻上チキ:政治資金規正法では20万円を超える場合は報告書に出さないといけない。

しかし下村さんの場合は、内部には記録があるんだけど、報告書には記していなかったということで、この通りだとすれば、違法だということになるんでしょうか。

 

岩渕美克:事務所の内部文書では通りだとすれば違法ですけど、それが20万円以下のものを集めたものということであれば違法ではないということになりますね。

ただ、これは大口献金が賄賂性を持ったりするので、20万円ということにどれだけ意味があるかというと、このこと自体少し疑問ですけど。

 

荻上チキ:そこで区切る合理性はあまりなくて、ひとつの線引きで運用して来たということになるわけですか。

 

岩渕美克:はい。

 

荻上チキ:これに対して、下村さんは「事実に反する」と、要は20万円以下の購入を束ねたものだから違法性はないと指摘してるんですけど、こちらの説明については、どうお感じになりますか。

 

岩渕美克:秘書室長が11の個人及び企業からお金を集めて来て、それを事務所に直接持って来たということなんですけど、加計学園からのコメントもあるようですけど、秘書室長がなんでそんなことを、下村事務所のためにするのか、つまりお金を集めて持って行くって集金係ですよね。

こういうことをなんでするんだろうかっていうのが、疑問として残りますよね。

そこの部分は特になくて、ただ単に形式的にと言いますか、11人分だから1件20万円以下だから違法性はないと、これはこれでその通りで正しいですけど、その通りだとすれば。

ただ、本当に11人いたかどうかとか、あるいは今までよくあったのが、名義貸しで実際には1人が払っていたということもありますから、もう少し詳しい説明を聞かないと、それだけで11人だから違法性ないですねということには、ちょっと説明が足りない気がします。

 

荻上チキ:11人が、名前は借りているけど、実質は1箇所からお金を出していて、名前だけお金を出したことにしてくださいという可能性もあるわけですね。

 

岩渕美克:今までそういうふうにして、20万円以下にして、献金者の名前を隠すということが実際例がないわけではありませんから、その可能性もある捨てきれないという部分は残りますよね。

 

荻上チキ:とすると、この11人、しっかりと名前を言えるのかどうかということも、ひとつの論点にはなるということですか。

 

岩渕美克:そうです。

公表するかどうかというのは、プライバシーの問題も出てくるかもしれませんけど、政治献金する側が、なんで名前を言えないのかというと、複雑な事情が考えられますけど。

それは献金した側からすれば、応援してるんだからということで言えば、難しくはないと思うんですけど、少なくとも第三者の調査で、11人が実在してその人たちの献金であったということは、調べてもいいという気がします。

 

荻上チキ:11人で100万、100万で200万ですよね。

100万円ずつ2回持って来たと。

200万円を11人から預かって来たというのは、調度収支報告書に記載しなくていいような金額に調整してるというふうにも考えられる数字ですよね。

 

岩渕美克:1年に100万円ですからね。

ですから、1人10万ずつくらいですかね。

ただ、これもちょっと、200万に対して11人という字面だけ見ると、なんで10人だったり5人だったりしないで11という数字にね、多少疑惑を持たれても仕方がない部分が残りますね。

 

荻上チキ:仮にこの通りだとしても、法の穴をついて、こういったことができるということを元大臣自らが、会見で示したということにもなるわけですよね。

 

岩渕美克:そうですね。

20万円を超えてないことにすれば、実際1人であったりということも考えられますからね。

これについての、こういった穴については、規正法の穴ということですから、これはなんとか塞いで行くか、少なくとも大臣であれば、全部情報公開するとか、李下に冠を正さずという話になりますけど、やはり自らを律するということが必要だと思います。

 

荻上チキ:今回週間文春が報じたケースは、加計学園の200万円だけではなくて、他にもリストには疑惑の約1千万ほどのケースがあるんじゃないかと記載されているということと、この加計の件については、実際に献金をもらっただけではなくて、かなりもともと親しい上に、具体的に事務所の方がいろいろと加計からの問い合わせに対して答えていると、他の事務所対応に比べても、スピーディーに対応しているということが、いろいろと報じられていて、単に献金の問題は加計だけではないということと、献金問題だけではないかたちで疑惑が出ている、この辺りはどう感じられますか。

 

岩渕美克:やはり今話題になってる加計学園が、当時文科大臣であった下村さんの事務所に秘書室長が、11人が事実だとしても、お金を預かって持って行くというのは、いかにも不自然ですよ。

そこまで親切にする理由があるのかと、勘ぐってしまうのが普通だと思います。

そこまでして、実際に現金を持って行くというのはちょっと怖いですよね。

100万円預かったっていっても。

そのために、政治献金は振り込みで、必ず誰がどこに払ったかを明示できるようにするべきなので。

そういうことを厳格に義務付けるとかありますけど。

この状況だと、加計学園と随分親しいなということを証明しているというふうにとれますよね。

 

荻上チキ:もともと家族ぐるみで親しかったということは触れられていますけど、秘書室長が100万円ずつ持ってくるという役割、つまりパーティー券の集金係になっているということは認めているということになるので、こういった関係は普通は考えにくいということなんでしょうか。

 

岩渕美克:全く関係ない人にお金を集めて来てなんて言わないし、親切心で金集めて来たよって政治家の事務所に持っていかないですよね。

そこにはなんらかの目的があったりとか、関係性があったりするんじゃないかと、思うのが普通じゃないですかね。

秘書室長個人ということはないでしょうから、加計学園との非常に親しい関係から、疑惑がより深まったという感じはありますよね。