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パリが2024年オリンピック・パラリンピック招致に力を入れる背景 ワールドリポート

NHKラジオ「NHKマイあさラジオ」7月10日放送

ワールドリポート

 

キャスター:フランスは、2024年夏のオリンピック・パラリンピックの招致に向けて、活動を加速させています。

ヨーロッパ総局の権平記者に聞きます。

2020年の東京大会の次の大会の開催都市は、9月のIOC(国際オリンピック委員会)の総会で決まるわけですね。

 

権平:こちら、当初は5つの都市が立候補したんですが、巨額の費用がかかることなどを理由に、次々と撤退しまして、現在パリとアメリカのロサンゼルスの2大都市の争いになっています。

9月の開催都市決定に向けて、7月11日からスイスで開かれるIOCの臨時総会が大きな山場になるんです。

IOCとしては、どちらの都市も過去2回の開催実績を持つなど、甲乙つけがたくて、一方で巨額の費用を理由に招致を断念する都市が相次ぐ中で、9月には2024年とその次28年の開催都市を同時に決めようとしています。

そうなれば、パリとロサンゼルスの2つの都市がいずれかの大会を開くことになるという考えで、この方針が臨時総会で決まるものとみられます。

ただ、パリとしましては、是が非でも24年大会の招致を目指していまして、同じ臨時総会で行われる両都市のプレゼンテーションには、フランスからはマクロン大統領が自ら乗り込む予定なんです。

 

キャスター:なぜパリはそこまで2024年にこだわるんでしょうか。

 

権平:大きく2つあげられます。

ひとつは、100年という数字です。

この24年大会の開催都市に決まれば、前回の開催からちょうど100年という節目の年になります。

そして、過去の招致レースで相次いで破れてきたという苦い記憶から解放されたいという強い思いもあります。

パリは、1992年や2008年、2012年の招致でその度に有力視されながら、他の都市に破れてきました。

特に2012年大会の招致では、普段からライバル視していますロンドンとの最後の決戦投票で破れて、開催地決定の喜びを持っていかれたかたちで、悔しさも一段と大きかったようです。

それだけに今回は、3度目の正直ならぬ4度目の正直にかける思いは強く、招致委員会の代表は、「我々の目標はあくまで24年大会の開催で、28年という選択肢はない」とまで述べているんです。

 

キャスター:ということは、IOCの臨時総会でマクロン大統領がプレゼンテーションするのには、国をあげて招致を目指す姿勢を強調する狙いがあるということですね。

 

権平:その通りです。

マクロン大統領は、臨時総会の開催を前に、スイスのローザンヌでIOCのバッハ会長と会談します。

今年5月にはIOCの評価委員会のメンバーがパリを訪れて、3日間に渡って競技会場の予定地を視察したんですが、この際マクロン大統領は、大統領府でメンバーを朝食会に招きまして、得意の英語でスピーチをして、政府がオリンピック開催を全面支援すると強調しています。

先月23日の世界オリンピックデーでは、パリ中心部の交通を規制して、様々なスポーツ競技のデモンストレーションを披露し、セーに川では遊覧船の運行を規制してまで、100メートルの陸上レーンまで作り上げる力の入れようでした。

パリの24年大会に向けたロゴマークは、数字の4をエッフェル塔に見立てたものです。

先月下旬に行われた世論調査では、73%のフランス国民が開催を支持しているという結果もありまして、その思い通りにパリが念願の2024年大会の招致を勝ち取るのか、注目したいと思います。