今度はうまくいく?溶融燃料調査 ニュースアップ
7月18日放送「NHKマイあさラジオ」
キャスター:福島第一原子力発電所の事故で溶け落ちた燃料を確認しようと、東京電力は今週3号機に新型ロボットを投入します。
1号機と2号機の調査では、トラブルなどで、溶け落ちた燃料は確認できませんでしたが、今回の新型ロボットで調査はうまくいくのか、水野解説委員に聞きます。
今回開発されたのはどんなロボットなんでしょう。
水野:3号機の格納容器の中なんですけど、これは1・2号機と違って、大量の冷却水が溜まっています。
ですので、1・2号機とは違って、水中を泳いでいくロボットが開発されました。
直径が15センチ、長さは30センチで、全体的にマンボウのようにずんぐりむっくりしていることから「マンボウ型ロボット」と名付けられているんですけど、作業員が遠隔操作をして、スクリューを回しながら、格納容器内の水中を移動しながら、中心部にあります原子炉の底ですとか、格納容器の底に溶け落ちているとみられる核燃料を撮影しようという計画です。
キャスター:1号機と2号機では溶けた燃料は確認できなかったわけなんですが、今回はうまくいくんでしょうか。
水野:困難なことに変わりはないんですが、水中ならではのメリットもあります。
これまで、サソリ型それから魚釣り型と1・2号機の格納容器内に相次いでロボットが投入されましたが、なかなかうまくいかなかった原因のひとつは強い放射線なんです。
放射線によってカメラが劣化してしまいました。
しかし今回は、水がありますので、水が1メートルありますと放射線量は大体100分の1に減りますので、放射線を遮ってくれます。
ですので長時間調査ができるのではないかと見られています。
また、2号機の調査の時には、サソリ型ロボットが堆積物に乗り上げてキャタピラが動かなくなったということもあったんですが、水中であれば堆積物に乗り上げるということはないですね。
キャスター:ということは、うまくいきそうな気もしますけど。
水野:水中ならではの困難な点もたくさんあるんです。
このマンボウ型には遠隔操作のためのケーブルが付いていますので、これを引っ張りながら泳いでいかなければなりません。
しかし、原子炉の下は構造物がぐしゃぐしゃになっているかもしれず、ケーブルが構造に引っかかってしまうと一巻の終わりなんですね。
また、ただでさえ内部は真っ暗で、マンボウ型が照らす照明が頼りになるんですけど、仮にスクリューで堆積物が巻き上げられてしまいますと、視界がさらに悪くなる懸念もありまして、これまでの中で最も難しい調査となるかもしれません。
キャスター:溶けた燃料というのはいつになったら取り出せるんでしょうか。
水野:政府と東京電力は2021年から溶けた燃料を取り出すということを目指していまして、この夏には各号機ごとの取り出し方法の方針を決めることにしています。
そのためには、やはり溶けた燃料がどこにどれだけどんな状態であるのかということを詳しく知ることは不可欠なんですけど、1・2号機ではそれが把握できなかったんです。
ですので、3回目となる今回こそはなんとしても手掛かりを得て、中身のある取り出し方法を示していかなければならないと思います。