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二重国籍、PKO日報問題など、今週の政治ニュースをどう見たらいいのか。

7月22日放送「蓮見孝之 まとめて!土曜日」(TBSラジオ)

解説:平田崇浩(毎日新聞編集委員

 

蓮見:今週は国会が開かれていないにもかかわらず、政治のニュースがいろいろと話題になりました。

火曜日は民進党蓮舫代表が二重国籍問題で会見を行いました。

二重国籍を解消したことを証明するため、戸籍謄本などの一部を公表しました。

そして水曜日、今度は稲田防衛大臣が、南スーダンPKO部隊の日報について、隠蔽を了承した事実はないと述べました。

加計学園獣医学部新設などをめぐる予算委員会での集中審議は、24日月曜日に衆議院で、そして翌25日火曜日に参議院で行われることが決まりました。

今日は今週の政治のニュースについて、毎日新聞政治部編集委員の平田崇浩さんに詳しくお聞きします。

平田さん、今週は連日いろいろな政治関連のニュースが相次ぎましたね。

まずは、蓮舫代表の二重国籍問題、戸籍謄本など一部を公表したということですが、これはそもそもどういった点が問題だったんでしょうか。

 

平田:蓮舫さんは、お父さん台湾人なんですね。

1985年17歳の時に日本国籍を取得されたということなんですが、実は去年まで長く台湾国籍も残っていて、二重国籍の状態が国会議員になられてからも続いていたということが問題になっています。

 

蓮見:会見までやって、しかもこのタイミングで。

これは何か背景や理由があるんでしょうか。

 

平田:去年の9月の民進党の代表選がありまして、その時にこの問題が発覚しまして、蓮舫さんはその時に台湾籍の抹消手続きと日本国籍の選択宣言をして、二重国籍状態は去年の10月の時点で解消してるんですね。

それで問題は解決したと、民進党としては位置付けていたはずだったんですけど、今度の都議選で民進党も5議席しか取れませんでしたから、壊滅的な惨敗ということで、蓮舫執行部に対する不満が党内にありまして、その不満を持ってる人たちの間から、二重国籍問題をもう一回蒸し返すというか、問題視する声が出て、それを解消することによって、党内の不満に答えるというか、そういうことで今回のこういう会見に至ったということです。

 

蓮見:戸籍情報というのは、慎重に扱われるべき個人情報ですよね。

いろいろ総括した上で、党内からくすぶるものがあったとするならば、逆に党内でこれを蒸し返す動き自体が如何なものかと指摘する方もいらっしゃいますよね。

 

平田:そういう意見もありますし、私もそう思います。

戸籍情報というのは、究極の個人情報ですから、これを公開させる圧力自体が非常に気持ち悪いものがあります。

やはりこういうことをしていると、外国籍から日本国籍を取られた方とか日本に住んでいる外国人の方に自分の身元を証明しろと、そういう圧力をかけるのがあたかも当たり前のような前例を作ってしまわないかと、そんな心配が残ると思います。

 

蓮見:代わって、南スーダンPKOの日報問題ですが、このニュースについてはどう思われますか。

 

平田:そもそもは去年、日報の公開請求があって、陸上自衛隊が破棄したと言っていたのに、調べ直して見たら統合幕僚監部というところで見つかったと。

それを今年の2月7日に公表したんですが、実は陸自でも見つかっていたという話。

つまり、最初の情報隠し・隠蔽を誰がしたのかという問題になっているわけですね。

 

蓮見:稲田大臣の方と陸上自衛隊の方で、主張が食い違っているところがあるんですが、この点についてはいかがですか。

 

平田:陸上自衛隊は2月中旬に稲田大臣に報告したと、陸自でも見つかっていたということを公表しないという判断に大臣も関わっていたんだという主張をしたいようです。

これを稲田大臣は全面的に否定しているわけですから、どちらかが嘘をついているということになりますよね。

 

蓮見:いろんな情報が特にこの1週間相次いだような印象もあるんですよね。

 

平田:完全に防衛省内の対立みたいなことになってるんですけど、ということは裏返せば、稲田大臣が組織を管理できていない、実力組織をコントロールしなくてはならない政権として稲田大臣が適任なのかという問題になってくると思います。

 

蓮見:稲田大臣が辞任なのかあるいは罷免なのかそれから続けるのか、大臣としての職の続け方に関しては、平田さんはどう見ていますか。

 

平田:来月3日に内閣改造が行われる予定で、そこで交代させるということが既定路線になっていると思います。

ただ、この稲田大臣を変えたからと言って、この後加計問題も出てきますが、この情報を隠蔽するという体質がどうしてもこの政権にあるのではないかと、この政権への信頼という問題が残ると思います。

稲田大臣については、これだけ問題になっていますので、内閣改造まで持つのかという話にもなっていますが、いずれにしてもこの政権全体でどう取り組むのか、この内閣改造で問われているのではないかという気がします。

 

蓮見:最後に触れていただきたいのは、加計学園をめぐる集中審議、24日25日に行うことで合意していますけど、議論されるポイント、私たちはどういうところを見ていけばいいんでしょうか。

 

平田:政府与党は、安倍総理が言っている通り、これは獣医学部の新設を規制してきた岩盤規制に穴を開けたんだと、改革なんだと言ってるんですけど、それに対して文科省側の前川前次官が言っているのは、規制改革というものが良いか悪いかではないと、なぜこの加計学園になったのか、そこに総理のご意向という圧力が働いたんじゃないか、総理のお友達に便宜を図るような不正があって行政が歪められたんじゃないかと主張しているわけですね。

そこをすり替えたまま、単に規制改革なんだとだけ言っても、なかなか納得できないんじゃないかなと思います。

 

蓮見:先程も触れた稲田大臣に関してもふれられるんですよね。

 

平田:それはもちろんその問題もありますね。

 

蓮見:特別防衛監察の公表が延期されてますよね。

延期されたことによって、稲田大臣に対する追求ができないということもあり得るんですか。

 

平田:そもそも特別防衛監察の報告書を公表したかったみたいなんですが、次々と新しい話が出て来て、稲田大臣のことも調べなくてはいけない、それは今までの報告書には入っていなかったようなので、それをやり直すために伸びたという部分はあるみたいなんですね。

陸上自衛隊と言い部が異なっていますから、これをどう決着をつけるか、来週報告書が出て来たとしても、それによって問題が解決するというものではない、それが出ることによって野党は追求していくことになるんだと思います。