日報問題の閉会中審査。自民党が稲田前防衛大臣の出席を拒否
7月31日放送 「荻上チキ・Session-22」
南スーダンでの国連PKOの日報をめぐる問題で、自民党は野党の求めている衆議院安全保障委員会の閉会中審査への稲田前防衛大臣の参考人招致を拒否しました。
自民・民進両党は、閉会中審査を実施する方針はすでに確認していますが、自民党の竹下国対委員長は稲田氏を出席させない理由として、「辞任した大臣を呼び出すということはやってはいけないという判断をした」としています。
一方、稲田前大臣は今日、防衛省で自身の離任式に出席し、「風通しの良い組織文化を醸成し、いかなる困難な状況にも対応してほしい」と挨拶しましたが、自身の責任をめぐる謝罪の言葉はありませんでした。
荻上チキ
日報問題の閉会中審査ということですけど、稲田さん出なきゃダメでしょ。
だって当事者ですもん。
なおかつ、安倍総理は稲田大臣の指揮のもとしっかりと真相を究明して、説明責任を果たしていくということを言ったわけですね。
その任命責任は自分にあるということを繰り返していたんですけど、任命責任を持つべき対象の人が、自分は大臣に適さないということで辞めたわけですよね。
そしたら、その任命した方は監督責任は問われないのか、ということはやはり問われるんだけど、何をもってその責任を果たしたということになるのかというのがよくわからないですね。
この日報問題について、国会で追及されなくてはいけない、報告書は出たんだけどその報告書をもって記者会見が開かれた、記者からいろんな質問が出たけどそれは1時間ぐらいしかないわけですよね。
記者って別に国民の代表ではないわけですよ。
国民の代わりに色々と情報を取って来てそれを伝達する知る権利を満たすというような重要な役割を持っているんですけど、国民から選出された代表ではないわけですね。
それは国会議員の方々なんです。
国会議員の方が、実際に官邸がどうなのか、内閣がどうなのか、ということを追及していくことは必要で、そのためには国会の場で稲田さんが質問に答えないとわからないところが出てくるわけです。
参考人として、当時の複数の自衛隊幹部、防衛省幹部、そうした人たちから話を聞くことによって、何がどこでどうずれたのか、何故証言が食い違ったのか、これだけ大事な問題について報告書の結論が「発言が食い違っています。以上」でいいのか。
こんなに日報問題含めて安全保障の大事な事実確認が必要な論点について調査しましたけど、発言が食い違ってますね、という結論だったら、調査の意味ないじゃないですか。
これは結論じゃないですよね。
稲田さんは会見で、今回の調査で事実は明らかになったと説明しているんですけど、そんなことはないと思います。
これから具体的な対策をしていくとか、今回の対策として発表されたのが、あくまで日報を10年間保存して公開するということなんですけど、日報以外にも様々な報告書とかあるでしょ、森友・加計の問題であれだけ文書保存の重要性が散々指摘されているじゃないですか。
今回の色々あった上で、本当に日報だけを指定してクリアになるのか、ということも含めて論点は山積みなわけですよ。
だから、稲田さんからたっぷりと話を聞いて、反省点を探して、その上で今後の省庁の改善点をどうすればいいのかを議論する材料を集めなくてはいけないんです。
だから自民党の国会対策の方も、国会のことを考えるんだったら、呼ばなきゃダメでしょ。
色々な意味で。
国会であって内閣ではないわけですよ。
身を守るのではなくて、国会としての役割を適切に果たせることがゴールな訳ですよね。
でも、あまりに自民党をかばうということがゴールになっているがあまり、国会の役割というものをおろそかにしようとしている。
今回、国対委員長が「辞任した大臣を呼び出すということはやってはいけない」ということを稲田さんの出席を拒む理由として取り上げてたんですね。
この理由を聞いた時に、僕が知らない永田町の論理として、辞任した大臣を呼んではいけないという謎のルールがあるのかということが頭の中に浮かんで、知らなかったら申し訳ないんだけど、何故かという理由が全くわからない。
例えば、大臣が辞任をした、これは問題がある行為をしたからだったりする。
でも、その問題行為を繰り返さないためには、その大臣からいろいろ話を聞かなきゃいけない場面というのは出てくるとわけです。
むしろ、非常に大きな疑惑があって、その疑惑を追及しようとした矢先に辞められたら、その疑惑を追及できないまま終わってしまうことがあるということになったら、辞め得になっちゃうわけです。
大臣を辞任するというのは、一番重い責任の取り方をされたというふうにして、だからそういう人を国会に呼び出すようなことをしてはいけないと言ってるんだけど、大臣を辞めることが一番重いと誰も思ってないですよね。
だってまだ議員やめてないじゃないですか。
自民党を離党だってしてないじゃないですか。
他にも重いものはあるわけですよ。
大臣を辞めるのが一番重いんだろうかと、それは内閣目線ではそうでしょう。
でもあなたは国会議員で、国対委員長なんだから、内閣目線ではなくて、国会の側からすると一番責任の取り方として重要なのは、その時どんなことがあったのかということを一国会議員になっても証言を残していくということが重要になってくるわけです。
それが一番の責任の取り方だと思います。