銀行カードローン問題で電話相談会
8月1日放送 「NHKマイあさラジオ」ニュースアップ
キャスター:銀行のカードローンの貸出残高が急激に増えている問題で日弁連は全国一斉の無料電話相談を開きました。
今井解説委員に聞きます。
問題になっていますカードローンというのは、どのようなものなんでしょうか。
今井:問題になっているカードローンは、個人が担保なしでしかも住宅ローンのように特定の使い道を決めることなく借りられるローンなんです。
要するに消費者金融の銀行版といっていいと思います。
いま、ATMで簡単に借りられますよとか、手数料がかかりませんよなどと盛んに銀行が宣伝しています。
その銀行のカードローンの貸出残高がどのくらい増えたかというと、2011年度末に3兆3千億円だったのが昨年度2016年度末には5兆6千億円と5年間で1.7倍になっているんです。
消費者金融の貸出残高を逆転して大幅に上回っている状態です。
キャスター:消費者金融よりも貸出残高が多いと、これはどうしてでしょうか。
今井:まず消費者金融についてなんですけど、2006年に法律が改正されて、貸出金利の上限を引き下げるとともに年収の3分の1までしか貸し出せないとする総量規制と呼ばれる規制が導入されました。
これで残高が大幅に減ったんです。
一方この時銀行については、悪いことはしないだろうということで総量規制の対象外とされました。
ところがその後、日銀の金融政策の影響で貸出金利が下がって、銀行の経営環境が厳しさを増しているんです。
住宅ローンの金利は1%前後ですよね。
それに対してカードローンは最高年収の14%台と比較的高い金利を得ることができるんです。
そこで、カードローン事業で稼ごうと力を入れる銀行が増えているというわけなんです。
実際消費者金融で断られた人が収入がないのに、あるいは収入を上回る何百万というお金を銀行から簡単に借りられたというケースも報告されています。
キャスター:借りる方からしてみますと、10%台の金利というのは結構重いですよね。
今井:そうですよね。もともと生活が厳しい人が借りると、返せなくなりますよね。
去年全国の自己破産の申し立て件数が13年ぶりに増加に転じたんです。
今年もさらに去年を上回るペースで増えているんです。
その背景に銀行が返済できない人にまで安易にたくさんのお金を貸していることがあるのではないかということで、日弁連が全国一斉の無料の電話相談を開くことにしたんですね。
日弁連はお金を返せなくて困っている人からの相談に応じることにしているんです。
それとともに今回はもうひとつ狙いがあるんです。
全銀協は厳しい批判を受けたことから、今年3月にお金を借りたいという人の年収をきちんと調べるなどして、過剰な貸付とならないよう対策を取るという申し合わせをしたんです。
日弁連はこの自主的な申し合わせで本当に銀行に融資姿勢が変わったのかどうかを確かめたいとしているんです。
そして、もし申し合わせの趣旨が全国の銀行で徹底されていなければ、今後消費者金融への総量規制の対象に銀行も含めるよう、つまり銀行も年収の3分の1までしか貸せないようにするよう法的な規制を求めていくとしていまして、今回の電話相談はこの点にも注目していく必要があると思います。