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防衛省信頼回復なるか

8月4日放送  「NHKマイあさラジオ」

 

キャスター:安倍総理大臣は、昨日行った内閣改造で、注目された防衛大臣に大臣経験者の小野寺氏を起用しました。

この人事の狙いは何か、政治担当の松田解説委員に聞きます。

今回防衛大臣に誰がなるのかということが注目されましたが、小野寺さんを起用した狙いはどこにあるんでしょうか。

 

松田:背景にあるのは、何と言っても例の日報問題です。

PKO部隊の日報を陸上自衛隊が破棄したと説明しながら、実際は保管していたという問題です。

特別防衛監察の結果、組織的な隠蔽の実態が白日の下に晒されて、稲田前大臣が辞任、加えて事務方いわゆる背広組トップの事務次官といわゆる制服組陸上自衛隊トップの幕僚長が退任に追い込まれました。

調査の過程では、背広組と制服組の証言が異なる場面もあったということで、今回の問題は背広組と制服組の意思疎通の不足、風通しの悪さを浮き彫りにしました。

こうした中で、新しい大臣に求められるのは、背広組と制服組双方の意見を調整し、まとめ上げる力、そして文民統制つまり政治家として自衛隊という巨大な実力組織を統率する能力だと思います。

これが、防衛省に深く根差した隠蔽体質を改善することにも繋がるからです。

そのためには、安全保障政策に精通し自衛隊からの信頼も厚い防衛大臣経験者でなくては務まらないというわけです。

 

キャスター:それで、小野寺さんに白羽の矢が立ったというわけですね。

 

松田:小野寺さんは、5年前に発足した第2次安倍内閣で2年近くにわたって防衛大臣を務め、海洋進出を強める中国やミサイル発射を繰り返す北朝鮮への対応に当たったほか、日米防衛協力の指針いわゆるガイドラインの見直しにも携わりました。

言うまでもなく、北朝鮮の脅威に対抗するためには、日米の緊密な協力が不可欠です。

近く日米の外務防衛の閣僚協議2プラス2の開催も調整されていますから、即戦力として期待されてるんでしょうね。

 

キャスター:そうしますと、小野寺さんの肩にかかるもの、プレッシャーはかなり大きそうですね。

 

松田:そうでしょうね。

本人は、昨夜の記者会見で、安倍総理大臣からは、厳しさを増す安全保障環境を踏まえた防衛大綱の見直しや、次の中期防衛力整備計画の検討、それに北朝鮮の脅威を抑止するため、アメリカと防衛体制と能力の向上に向けた、具体的な行動を進めることなどについて指示を受けたと述べています。

今回、この日報問題が図らずも浮き彫りにしたように、透明性の向上と組織内の意思疎通の改善は、防衛省自衛隊の積年の課題です。

傷ついた体制を立て直して、大きく揺らいだ国民の信頼を取り戻すことができるか、当面小野寺さんの手腕に注目したいと思います。