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新しい文部科学大臣の直面する問題

8月7日放送  「NHKマイあさラジオ」

 

キャスター:今月3日の内閣改造で、新しい文部科学大臣林芳正が就任しました。

直面する課題について、早川解説委員に聞きます。

文部科学省と言いますと、今年に入って天下り問題そして加計学園の問題と続きましたね。

 

早川:そうですね。そうした問題からの立て直しが急務です。

とりわけ加計学園の問題では、あるはずとされた文書が調査の結果、あったりなかったりと、存否をめぐる文部科学省の対応が混迷を深める原因の一つとなりました。

林さんなんですが、もともと教育畑ではありませんので、まずは人心を掌握した上で、説明責任をきちんと果たせるように行政の透明化を確立できるのか、新大臣としてのリーダーシップが問われると思います。

 

キャスター:加計学園の問題ですけど、国家戦略特区で今治市に開設予定している獣医学部の設置認可ですけど、これはどうなりそうなんでしょうか。

 

早川:審議会の結果待ちといったところです。

現在大学の実情に詳しい専門家によって審議会で審査されていまして、大臣といえど、途中経過に口出しすることはできません。

結果を受け取った後、最終的に認可するかどうかを決めるのが大臣の役割です。

審議会の結論は今月末の予定でして、平成30年度つまり来年4月の開設が認められるかどうか、これが焦点です。

 

キャスター:その審議会はどんな結論を出すんでしょうか。

 

早川:選択肢としては、認可・不認可・認可保留の三つが考えられます。

仮に設置基準を満たせず保留になりますと、さらに認可・不認可の結果が出るまで審査が継続します。

指摘事項をクリアできるかどうかは、今後の加計学園の対応次第です。

クリアできれば、来年4月の開設に間に合うんですけど、概ね10月末までとされる期限内にクリアできなければ、来年の開設が遠退きます。

また、仮に不認可となった場合、国家戦略特区では、平成30年度の開設を公募条件として限って来ましたので、結果の整合性が問われることになると思います。

いずれにせよ、その結論をどう扱うかは、大臣の判断に委ねられるわけですけど、かつて大臣が審議会の結論を覆そうとして大騒動になったことがあるだけに、大臣としての役割には重いものがあるんです。

 

キャスター:就任早々困難な課題に直面して、前途多難ですね。

 

早川:実はこれだけではなくて、一連の騒動の影響もあって、積み残されている課題がまだまだあるんです。

ざっと見ただけでも、一つは先生の多忙解消策、政府が働き方改革を進める中、学校の先生とりわけ中学校の先生の半数以上がいわば過労死ラインを超えるほどの忙しさだという調査結果が出ていまして、対応を迫られています。

二つ目は、授業見直しのための条件整理です。

三年後の2020年から、学校の授業内容が見直され、手間暇のかかる授業に代えることになっています。

 その先生を増やしたり、授業をサポートしたりする方策が求められています。

三つ目なんですけど、こちらも2020年度を目指して、大学入試改革が混乱なく本番を迎えられるのか、いずれも時間があるようで意外にない中で、責任を持って、次々に判断しなければならないことがやってくるんです。

これらの課題に明確な答えを出せるのか、そしてそうした仕事を通じて国民の信頼回復を果たせるのか、新大臣の腕次第ということになります。