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防災関係者の命も守れ

NHKラジオ「NHKマイあさラジオ」7月7日放送

ニュースアップ  山崎解説委員

 

キャスター:九州北部の豪雨、大変な被害になりましたね。

 

山崎:当初の気象庁の予報を上回る大雨が降って、未だに被害の全容を把握することができない大きな災害になりましたが、大分県日田市では、現場で活動していた43歳の消防団員が、土砂崩れに巻き込まれて亡くなりました。

また福岡県では、朝倉市などの道路のパトロールをしていた福岡県の職員3人が一時連絡が取れなくなりました。

この3人はその後、無事が確認されましたが、災害の時にはこうした防災関係者が犠牲になることが少なくありません。

 

キャスター:過去にも、こうしたことはあったんでしょうか。

 

山崎:昭和47年7月に、高知県土佐山田町の重藤というところで起きた土砂災害がありました。

この時には、現場付近で救助活動をしていた消防団員、それから水防団員合わせて44人が犠牲になりました。

東日本大震災では、津波の危険が迫るなか、水門を閉めたり、逃げ遅れたり、あるいは非難に時間のかかる人たちを助けていて、消防団員が254人、民生委員が56人も犠牲になっています。

 

キャスター:防災活動をしている関係者の方が犠牲になるのは本当に辛いですよね。

 

山崎:消防団も民生委員も、地域の住民が、ボランティア精神に支えられて仕事をしています。

しかも被災者ですから、災害が迫った時には、自分の安全を後回しにして、地域の人たちを守るという活動をしているという様子が伺えます。

 

キャスター:なんとか対策を立てないといけないと思うんですけど、そういう方策はあるんでしょうか。

 

山崎:なかなか難しいと思うんですが、東日本大震災の時に、岩手県宮古市など被災地の5つの市の消防団員に聞いた調査が、示唆に富んでいます。

この調査は、消防庁が行ってますが、避難を呼びかけても避難してくれなかった住民がいたかと聞いたところ、36%の団員がいたと答えています。

実際に住民に避難するよう説得していた団員が亡くなったケースがありました。

また、私が取材した団員は、避難が終わらない住民がいるのに、自分だけが逃げることはできないと思ったと話していました。

 

キャスター:みなさん使命感を持って活動されてるから、そう考えてしまう訳ですね。

 

山崎:災害の危険が迫ったら、地域の住民が早めに避難することが、防災関係者を含めた地域全体の安全を確保することにつながっているんだと思います。

最近は、台風の上陸した時とか、あるいは津波が到達する時刻というふうに大変危険な時間帯は、消防団とか民生委員・警察など防災関係者も、安全を確保するために活動を一時停止するという計画を作っている自治体が増えてきましたが、地域の住民は、自分たちが早めに避難することが、最前線で活動する防災関係者の安全の確保にもつながっているんだと意識してほしいと思います。