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審査はどうなる!東電柏崎刈羽原発 ニュースアップ

NHKラジオ「NHKマイあさラジオ」7月12日放送

ニュースアップ

 

キャスター:東京電力が経営再建の柱と位置付ける新潟県柏崎刈羽原発について、原子力規制委員会は先月就任した会長ら新経営陣に直接安全への考えを質すなど、異例の姿勢で再稼働に向けた審査に望んでいます。

規制委員会の狙いはどこにあるのか。

水野解説委員に聞きます。

原発の安全審査で、経営陣まで呼ぶというのは異例のことのようですね。

 

水野:これまでも電力各社の社長との全般的な意見交換というのはあったんですけど、審査の一環で会長まで読んだのは東電が初めてで、それだけ社会への規制委にとってこの柏崎刈羽は特別な原発ということなんですね。

 

キャスター:特別な原発、それはなぜですか。

 

水野:東電が事故を起こした当事者だということもありますけど、東電に対する大きな不信が根底にあるんです。

と言いますのも、東電は安全審査の過程で安全に関する重要な部分で度々説明を変えているんです。

最近も、緊急時の拠点として使うと説明していました免震重要棟の耐震性が基準を満たさないことを明らかにしたんですけど、東電はその事実を3年前に把握していたにもかかわらず、規制委に説明してこなかったんです。

ですので規制委は、不都合な情報を出そうとしない体質は相変わらずで、変わっていないとして、東電に対する不信感を強め、新体制でどうなるのかということで先月就任したばかりの川村会長と小早川社長を聴取した訳です。

 

キャスター:聴取して不信は解消されたんでしょうか。

 

水野:解消されるどころか、さらに不信が高まったかたちとなりました。

会長らは、福島の責任を果たすことが最優先ということは言うんですが、福島第1原発の汚染水の最終的な処理については、国の委員会が検討しているのを注目していると述べるにとどまるなど、トップとしての判断を示そうとはしませんでした。

これについて、規制委の田中委員長は、福島の廃炉を主体的にやりきる覚悟がない会社に、柏崎刈羽を運転する資格はないと述べまして、経営トップの姿勢を厳しく批判しました。

福島の事故の後処理のために、東電は今後毎年5000億円負担しなければならず、柏崎刈羽の再稼働が不可欠と位置付けてはいますけど、田中委員長は福島の廃炉柏崎刈羽の再稼働を両立できるのかということに対して懐疑的で、東電としての考え方を文書で示すように要求しました。

 

キャスター:柏崎刈羽原発の審査、今後はどんな見通しですか。

 

水野:当初は今年の秋にも合格かという予想もありましたが、新しい体制となって、事故前の体質を変えて東電は生まれ変わったというところを見せられない限りは、当面合格は難しいのではないかと思います。

今後は、経営トップが不都合な情報についても、積極的に情報公開をし、それから福島の廃炉とともに再稼働に向けた安全対策に具体的にどう取り組むか、トップとして明確な方針を示していくことが求められると思います。