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どうなる朝鮮半島情勢

7月27日放送「NHKマイあさラジオ」

 

キャスター:核やミサイルの開発をやめない北朝鮮に対して、韓国の文在寅大統領は、軍事当局者による協議の開催を呼びかけましたが、北朝鮮は回答せず、韓国批判を続けています。

緊迫する朝鮮半島情勢は緩和に向かうのか。

出石解説委員に聞きます。

朝鮮半島情勢の緊迫が続いていますね。

 

出石:そうですね、今日27日というのは、南北が激しく戦闘を繰り広げた朝鮮戦争の休戦協定が成立した日でもあります。

北朝鮮はこの日をアメリカとの戦争に勝利した日と位置づけていまして、この日に新たなミサイルの発射に踏み切るのではないかと各国が警戒を強めているんです。

こうした緊張を緩和しようと、韓国の文在寅大統領が、この日(27日)をもって軍事境界線での敵対行為をやめようと、具体的にいうと、相手を非難するマイクを使った宣伝放送をやめようとか、そういったことを目的に軍の当局者同士の話し合いを開こうと提案しました。

しかし、実現しませんでした。

 

キャスター:北朝鮮が提案に応じなかったということですね。

 

出石:そういうことですね。

逆に党の機関紙「労働新聞」を通じて、韓国批判を続けています。

韓国は表向きは関係改善を望んでいるかのように装っているけど、アメリカと結託して朝鮮半島の平和を乱していると、このように韓国を批判しています。

 

キャスター:北朝鮮は関係改善を望んでいないということなんでしょうか。

 

出石:というよりは、韓国の文在寅政権を牽制してるんじゃないかと思います。

と言いますのは、文在寅大統領というのは基本的に北朝鮮には融和的な立場なんです。

先程も申し上げました、敵対行為の中止だけではなく、朝鮮戦争で生き別れになった離散家族の再会事業を行うために、南北の赤十字会談を開こうとか、あるいは来年2月に行われる平昌オリンピック北朝鮮選手団を参加を呼びかけるなどしているんです。

 

キャスター:なぜ北朝鮮は対話に応じようとしないんでしょうか。

 

出石:文在寅政権はそういった融和的な姿勢と同時に、北朝鮮の核ミサイル開発については厳しい姿勢を貫いています。

日本やアメリカとともに、制裁を強めるべきだと主張しています。

このあたりが、北朝鮮にとっては受け入れられないということなんだと思います。

本当に関係を改善したいんだったら、制裁を解除して、アメリカ軍との軍事演習もやめるべきだと、このように言って、文在寅政権を揺さぶっています。

 

キャスター:朝鮮半島の緊張というのは今後緩和に向かうことはあるんでしょうか。

 

出石:この文在寅政権の今の北朝鮮に対する態度、つまり核やミサイルには圧力、そしてオリンピックですとか民間交流では対話という、二方向の対応というのがどこまで北朝鮮に通用するのか、これがひとつのポイントだと思います。

韓国としては、同盟国アメリカとの関係も大事、アメリカは圧力重視の立場です。

一方、今は冷え込んでしまっている中国との関係も改善したい、中国は対話と言っているわけです。

このあたりのバランスが取りづらいというところがあります。

また、北朝鮮もかなり強硬な発言は続けていますが、本音では経済的な支援を欲しがってるはずです。

そういった双方の立場を考えますと、今は相手の出方を見ながら、腹の探り合いをしているという状態じゃないかと思います。