自民党、都議選で歴史的惨敗 安倍内閣支持率も発足以来最低に!
TBSラジオ「荒川強啓デイ・キャッチ」7月3日放送
コメンテーター:ジャーナリスト・青木理
プレゼンター:時事芸人・プチ鹿島
昨日の都議選で歴史的惨敗を喫した自民党ですが、安倍内閣の支持率も第二次安倍政権の発足以来最低となったことがTBSの世論調査でわかりました。
安倍内閣の支持率は、前の月よりも11.1ポイント下がって43.3%でした。
2ヶ月で20ポイント下がったことになり、2010年12月に第二次安倍政権が発足して以来最も低い支持率となりました。
一方不支持率は11.4ポイント上がって55.5%でした。
支持率と不支持率が逆転したのは2015年10月以来のことです。
TBSの世論調査では、
稲田防衛大臣が都議選の応援演説で、「防衛相、自衛隊としてもお願いしたい」などと発言したことについて尋ねたところ、「全く問題ない」と「どちらかというと問題ない」と答えた人は合わせて15%にとどまり、逆に「非常に問題がある」「どちらかといえば問題がある」と答えた人は合わせて82%に登りました。
また、稲田氏は防衛大臣を辞めるべきかを聞いたところ、「辞めるべき」が63%でした。
そして、加計学園をめぐる問題で、安倍総理が説明責任を果たしているかを尋ねたところ、「果たしている」12%、「果たしているとは思わない」79%でした。
また、稲田大臣の問題発言や加計学園問題について、国会の閉会中審査や早期の臨時国会招集など、国会で審議すべきかどうかを尋ねたところ、「早期に審議すべき」64%、「その必要がない」28%でした。
そして、各政党の支持率は、自民党31.5%、民進党6.3%、共産党3.9%、公明党3.4%、維新の会1.3%、社民党1.1%、自由党0.3%、日本のこころ0.1%、そのほか0.9%、そして支持政党なし50.4%でした。
一方、歴史的惨敗を喫した自民党、今朝安倍総理も出席して臨時の役員会が開かれたんですが、安倍総理は「今後どのような対応ができるのか考えてほしい」と伝えまして、信頼回復に向けて、あらゆる努力をする考えを示しております。
そして、大勝した都民ファーストの会の小池百合子代表は、都知事の仕事に専念するため、代表の座を降りることを発表しました。
荒川:青木さん、この都議選の結果はどう見ていますか。
青木:いろいろな見方があると思うんですよね。
各メディアが報じているように、安倍政権に対する審判であると。
この間加計学園・森友学園の問題、稲田大臣の発言の問題、豊田真由子議員の無残なパワハラ発言問題、などがあったので、逆風はその通りだと思うんです。
今日の読売新聞があるんですけど、都議選は普通新聞社でいうと社会部の管轄なんです。
なので、社会部が取材するんですけど、読売新聞の一面に政治部長のコラムが来てるんですね。
だから、やっぱりこれは中央政治への波及が予想されるということなんでしょう。
読売新聞の見出しは、「一強の驕りを改めよ」と。
首相はこの新聞を熟読せよと言ってるくらいですから、ご自身も熟読された方がいいんじゃないでしょうか。
読売新聞ですらこう書かざるを得ない状況なんでしょう。
それはともかく、冷めた見方をすると、今回自民党は23議席なんです。
こらは大惨敗なんですけど、一方共産党は2議席増えて19議席になってるんですね。
つまりどういうことかというと、何が何でも自民党っていう人の数と、とにかく安倍政権が嫌いだという人の数が同じくらいいるということです。
それ以外の人がいわゆる無党派層で、風が吹いたらそっちに流れる層なんです。
その無党派層が今回は都民ファーストのの会に流れたことによって、雪崩を打った勝利になったんですけど、考えてみれば、風が吹くとこういう形になるんだということのひとつの証明なんだけど、昔から考えてみると、小泉チルドレン、小沢チルドレン、安倍チルドレンという人たちがどういう人たちだったかというを考えると、風に乗って出てくるのがいいことなのかというのがひとつ。
もうひとつは、風に乗って流れたのが小池さんの都民ファーストの会だったんだけど、小池さんと安倍首相や自民党との関係って微妙ですよね。
自民党のある種の補完勢力になる可能性も捨てきれないわけですよね。
だから、本来必要な対抗軸・受け皿とは言えないと思います。
ですから、この結果を見てよかったと評価することはできないのではないかと思います。
荒川:このニュース、時事芸人・プチ鹿島さんはどう見ていますか。
プチ鹿島:今朝の新聞を読むと、都議選の分析ももちろんあるんですけど、やっぱりこれからの国政の話に新聞各社むちゅうなめんがありまして。
というのも、過去を振り返ってみると、都議選は国政とリンクしているということがあるんですよね。
それを改めてまとめてみます。
1989年、平成になって最初の都議選、この時は社会党大躍進、自民惨敗。
リクルート事件、消費税導入、宇野首相の女性問題のいわゆる3点セットがあって、都議選でも自民党は惨敗しました。
1ヶ月後の参院選、自民党が過半数割れで、社会党の当時の土井たか子さんが「山が動いた」という言葉を残しました。
都議選からドラマが始まってたんです。
4年後の93年、今度は日本新党ブームがありました。
6月に都議選が行われたんですが、一方で国会では、宮沢内閣の不信任案が可決されて衆議院が解散、7月に投票があって、都議選では日本新党が20議席獲得、都議会第3党、1ヶ月後の衆院選ではそのままの勢いで、非自民が連立して、自民党が下野するという歴史的な選挙になりました。
今度は2005年、都議選からの郵政選挙という年でした。
この年は、都議選は7月に行われたんですが、都議選の結果自体は、自民党は第1党を維持したものの50議席を割り込んだ。
その代わりに民主党が大幅に伸ばして来たわけですね。
つまり、2大政党制のムードができて来ました。
ところが、この1ヶ月後の8月、当時の小泉首相が郵政解散をするわけです。
これで自民党が300議席に近い圧勝をして、民主党は大幅に数を減らします。
2009年、記憶に新しい民主党が政権交代へということで、都議選が7月に行われたんですが、自民党がこの時点で過去最低となる38議席、民主党が54議席で第1党となって、このまま次の8月の衆院選で民主党が300議席を超えて政権交代と。
その4年後、今度は安倍総裁で自民が圧勝するわけです。
そして今回2017年、過去最低の38議席を割るかどうかと言われたがそれどころじゃない、23議席です。
今までの政権交代レベルよりさらに大きい結果が今回出たということですね。
ただ、今回は参院選はありませんので、衆院解散も話は聞こえて来ませんので、この結果が国政にどうなるかということで、新聞各紙も分析があるということです。
新聞を紹介しますと、
読売新聞「国政へ、小池新党結成焦点」
こんな話になってるんです。
「仮に小池氏が新党を結成する場合、年内が有力視されている。」
どういうことかというと、自前の候補者を次の衆院選に擁立するためには、選挙資金が必要になる。
年内に5人以上の国会議員を集めて新党を旗揚げすれば、政党交付金を受け取ることができる。
ということで色んな名前が取りざたされています。
朝日新聞「国政進出へのシナリオは2つある。
ひとつは自民党との連携、もうひとつは存在感を示せない民進党など野党再編の中心軸となり自民党との対立路線をさらに推し進める」
一方安倍さん側のムードを書いたのが日本経済新聞です。
今回の結果を受けて、首相に近い閣僚経験者は、「年内に衆院解散総選挙はできない」と。
つまり、改憲勢力3ぶんの2を維持するためということです。
青木さんも取り上げていましたが、読売新聞は一面に、「一強の驕りを改めよ」
改めて読んでみると、こんなフレーズがあるんです。
「国民は首相の言葉を信じられなくなっている。」
読売新聞を熟読すると、こういう言葉が書いてあるんです。
青木:首相の言葉を一番紹介していたのが読売新聞なのにね。
プチ鹿島:紹介してたら、言葉を信じられなくなっている。
だから、首相に近い新聞がこれだけ書いているというのが、今回のことの大きさを物語ってるんじゃないかと思います。
どうですか、新聞が国政に対してこういうのは仕方ないんでしょうか。
青木:注目するのはいいんですけど、ただ自民党と連携するのか、自民党の対立軸として野党の結集になるのかといっても、自民党1と2が生まれるみたいなもんで、果たしてそれが日本の政治にとって健全なのかってね。
プチ鹿島:右側の方でどっち選びます?って言われてるみたいですね。
青木:安全保障の問題、福祉の問題、いろんな問題で自民党の支持層は一定層いるわけで、それに対して対立軸を示すのが本来の2大政党制なんだけど。
ここまで、安倍1強で驕りが高まってるとするならば、それに対する対抗軸が必要だという意味では小池さんの去就が注目されるなとは思いますけどね。
荒川:どっちにしても、受け皿を国民は待ってると思いますよ。
「NO」という気持ちはあっても、受け皿となってくれるところがないもんね。