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変わる元号、 出て来た懸念

TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ」6月19日放送

トークファイル  山田恵資 

 

山田:天皇陛下の退位の特例法が成立しまして、こんんどの焦点はいつ退位されるのかと、

政府内で準備が本格化してるんですけども、それと同時に国民生活に影響のあります新しい元号ですね、元号へどう対応していくのかと。

平成に代わる新しい元号は、今のところ2019年の元日からなのか、それとも春なのか、ということがまだはっきり決まっていませんけど、一番早い場合は2019年の元日から新しい元号になると。

その準備に伴って、いろんな懸念や戸惑いが出て来ています。

まず懸念を示しているのが、カレンダー業界なんです。

政府は、2018年夏頃に新しい元号を発表する方針なんですが、約半年前なんですけど、実はカレンダー業界は、新しいカレンダーを1年ぐらい前から作り始めまして、そして9月には店頭に並ぶということになりますので、間に合わないわけですね。

ですから早く決めてもらわないと困るということで、印刷に間に合わないので早くしてくれという訴えを表明しています。

カレンダーの上では、元号もさることながら、12月23日の天皇誕生日の名称を一体どうするのか、それから長い期間の手帳がありますけど、3年から10年分書き込める手帳もあるわけですけど、それをどうするのかと。

1ヶ月発表が遅れるごとに、刷り直しによって、業界全体で数億円の損失が出てしまうと。

ですから、業績にも響くということでカレンダー業界にとっては、ある種死活問題になってしまうということです。

 

森本:以前元号が変わった時も同じようなことがあったわけでしょ。

 

山田:昭和から平成に変わる時も同じような状況がありました。

1989年なんですけど、1月の平成改元時、平成に元号を変える時は、カレンダーや手帳だけでなく、官民のシステムなどでも準備が整わないという影響が出たと、報じられました。

昭和天皇が亡くなってから新元号の発表までは8時間だったわけですね。

当時に比べて今回は、退位を伴うので、それに比べれば、準備期間はあるといえばあるんですけど。

逆に前もって準備があるだけに、今度は逆に求めるものも多くなってくるということになると思うんですけど。

実はチェックが必要なのは、他にもありまして、元号を書類やシステムで使っている公的機関ですね。

公的な期間の文書を見ると、必ず元号が中心で、西暦を入れてるところはまずないですよね。

それから銀行のシステムなんですけど、例えば三菱UFJ銀行では契約書などに平成の元号が入っています。

それから国内の取引例を参照する場合も元号が使うことが多いということが金融機関ではあります。

それからマイナンバーカードなんですけど、生年月日のデータに元号を使っているそうです。

生活に影響がないように対応してくれればいいんですけど、影響は当然出るわけですし、ある意味存在しない元号がそのまま生きている文書になるんですよね。

今から出ている問題は、運転免許証なんですね。

これも昭和から平成への切り替えが突然のことだったので、システムが変更されるまでは昭和のままで発行したということがあるんですけど、つい最近自分の運転免許証を更新すると、ここには平成34年まで有効となっています。

とうことで、平成34年は絶対ない。

これが公式文書で存在することになります。

今回の改元に限らず、こういう問題はあるわけですから、もっと考え直してもいいんじゃないかと思いますよね。

 

森本:和号はどうしてもついて回りますか。

 

山田:私は、昭和生まれであるとか、平成生まれであるとか、言葉に込められた文化的匂いは重視していいと思うんですが、これに年をつけるというのは、いつ変わるかわからないわけですね。

政府の目標とかでも、かなり先の例えば平成40年とかしてますけど。

天皇陛下が長生きしてくれるに越したことはないにしても、非常に現実性を疑うような数字が平気で出ているところがあります。

ですから、業界などでは、自分たちにとって大事な数字、例えば薬などは今では全部西暦になっていますね。

 これは、間違えてはいけない、健康に関わるものですから。

私は、今回を機会に、もう少し考え直すことがあってもいいのではないかと感じます。

 

森本:元号に対する抜きがたい愛着と言いますか、そういうものがどうしてもついて回りますからね。

 

山田:1079年に元号法が出来たわけですけど、その時もイデオロギー論争も含まれていましたから、元号について触ることはかなり議論が出てくるということなんですけど、しかし生活面から見た場合、元号元号として、日本の文化として大いに尊重するとしても、公式文書などで使う、しかも西暦を使わず元号のみにするのは、そろそろこれを機会に改めるべきだと思います。