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安倍一強の象徴「内閣人事局」に注目

TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ」7月3日放送

トークファイル  山田恵資

 

山田:通常国会終わりまして、選挙も終わりましたけど、官庁街では夏の定例人事が大きな注目になっています。

特に、幹部の人事がどうなるか、自分の省だけでなく他所の省まで。

特に今回、加計学園の問題では多数の内部文書が出まして、これは文部科学省からでしたけど、文部科学省の人事は今はまだ未定の模様で、これもどのようになるのか非常に注目されています。

どのような仕組みで人事が行われているかということで、内閣人事局に注目したいんです。

 

森本:内閣人事局が統括してるんですね。

 

山田:そうですね。

2015年にできた組織なんですが、それまでは各役所で作ったものを、事務次官などは官邸で最終判断してましたけど、内閣人事局ができまして、官邸が決められる人事が600人以上になったと。

かつて200人くらいだったのが、今は670人と言われています。

ですから多くの人事を官邸が牛耳ってるということになりますね。

今公務員は58万人いますけど、本当に最高幹部ですから、官邸の思い通りに動いてもらわないと困るのは分かるんですけど、人事まで注文をつけたりですね、政治主導でやっていこうということになる訳です。

ですから当然、首相や官房長官の意向も働くということ、逆に言えば、気に入らない人は使わないということです。

この仕組みを詳しく説明しますと、人事局長というのは官房副長官が兼務してるんですけど、官房副長官は三人いますけど、その中で人事局長をしてるのは萩生田官房副長官、話題の人ですね。

省庁人事は、そもそも内閣人事局がまず最初に幹部候補者の名簿を作るんです。

適性検査をして、各役所に返します。

そして、各役所はそれを基にして原案を作ります。

ですから官邸からお墨付きをもらっていない人は選べない訳なんですけど、そこで各役所が作って、それをもう一度内閣人事局に戻すんです。

そこで最終的に総理や官房長官が選んでいくというのが、仕組みになってるんです。

結構人事局の影響は大きいですね。

今の安倍一強の象徴的な存在とも言われています。

ですから霞が関の官僚は、非常に官邸の方を向いていると言われますけど、正に内閣人事局を向いてると言ってもいいと思うんですけど。

実際にどれだけ各省庁から上がってくる原案をそのまま選ぶか、あるいはそれを弾くかということなんですが、先日内閣人事局の中枢に近い人に話を聞いてみますと、基本的に670人の人たちを見る訳ですから、全部は分からないと。

そもそもその人物を知らないというケースが多いので、大半は追認することが多い。

ただ時々、やはり官邸の色といいますか、官邸の目で、かなり踏み込んだ人事は当然しますよと。

最近どういう例があったのかと取材してみますと、韓国の釜山の森本総領事という方が先日退任しました。

この方は去年総領事になって、通常2年いるんですけど、今回1年で退任したと。

これは韓国の慰安婦の問題で、大使の長峰さんが一時帰国して、森本さんも一緒に一時帰国した訳ですけど、この帰した事について、今は帰任していた訳ですけど、この森本さんは不満があったらしくて、言わんとするのは、大統領選挙も行われていたし北朝鮮の核問題もあるので一時帰国はまずいだろうと、そういう趣旨の話をどこかで話していて、それを官邸が知って、官邸の考えと違う人がいるという事で、差し替えたらしいです。

言う所の、見せしめ人事ですね。

内容だけ聞いてると、森本さんの言ってることが最もなんですが、そこを官邸は官僚から異論が出ては困るということです。

 

森本:文部科学省も見せしめ人事はありますか。

 

山田:ですから、いま文書が次から次へと出てくる訳ですけど、一体誰がこれを出してるのか、これが官邸の関心事になってるんです。

情報公開からすると、機密の保護というよりも、我々の知る権利に資するということがありますから、ある意味ではやってもらった方がいいケースもある訳ですけど、官邸側から見ると、やった奴は誰だと、出した奴は誰だと、こうなりますから、そうしますとその先にあるのは、人事に影響してくるということで、報復人事があるのではないかと心配されています。

 

森本:萩生田さん自身にも疑惑がありましたからね。

 

山田:しかもその萩生田さん自身が疑惑の渦中にありますから、その方がトップにいるというのは、どうなのかということですね。

まず、最初にやるならば、萩生田さんの人事を変えてからという声もあって、確かに官邸も疑われるの嫌でしょうから、そうした方がフェアであるということでしょうね。