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北朝鮮のミサイル開発の現状 ワールドリポート

7月25日放送  「NHKマイあさラジオ」

 

キャスター:今月初め北朝鮮は、ICBM大陸間弾道ミサイル)の発射実験に成功したと発表しました。

アメリカはさらなる制裁の強化に向けて取り組んでいますが、こうした中でも北朝鮮はさらに軍事的な活動を活発化させていることがアメリカの監視で明らかになりました。

ワシントン支局の石山記者に聞きます。

具体的に北朝鮮でどんな動きがあるんでしょうか。

 

石山:まず最も注目されるのが、弾道ミサイルの新たな発射実験の準備とも見られる動きです。

アメリカ政府の当局者によりますと、今月中旬ごろから平壌の郊外で弾道ミサイルの発射に関連すると見られている人あるいは物の動きを確認したということなんです。

そしてこの動きが、北朝鮮が今月4日にICBM大陸間弾道ミサイル)だとして実施した発射実験の際の事前の状況と極めてよく似ているということなんです。

このため国防総省は、早ければ今月中にもICBM級のミサイルを発射する可能性があると見て監視を強めています。

 

キャスター:ということは核ミサイルの開発を加速させている状況には依然変わりないということですね。

 

石山:これに加えまして、もうひとつ気になる動きも観測されています。

それが、SLBM(潜水艦発射型弾道ミサイル)の発射技術の実験、そして北朝鮮の潜水艦の特異な行動なんです。

発射技術の試験というのは、潜水艦から弾道ミサイルを発射する際に潜水艦の内部で燃料を噴射することはせずに、圧力によって外部に射出するコールドランチと呼ばれる技術があるんですが、この技術の確立を目的としている実験だったということなんです。

これを今月と今年5月に相次いで実施している。

さらに、北朝鮮のロメオ級潜水艦が、先週日本海で、およそ1週間に渡って活動を続けていたということも、アメリカの監視でわかったんです。

これまでのアメリカの記録では、この潜水艦の活動というのは、通常は4日程度で終わっているんですけど、今回はこれを超えて8日ぐらいに渡っているということで、これはこの20年で初めての動きだと当局者は指摘しています。

 

キャスター:こうした動きには、どういった狙いがあるんでしょう。

 

石山:まずはミサイル技術の確立があると思います。

さらには、軍の運用能力の向上というのがあると思います。

アメリカ国防総省の分析では、北朝鮮金正恩体制の下で核ミサイルの開発を外交上の駆け引きに利用するというよりは、むしろ一刻も早く技術を確立させる、そのために必要な実験を必要なペースで進めていると分析しています。

その結果、そのペースがこれまでよりも大幅に上回っていることを非常に警戒しています。

北朝鮮への対応でこれを止めようとしているわけですけど、韓国が現在対話に前向きな姿勢を示していますが、アメリカは対話より圧力という方針を崩しておらず、これからも対話の時期ではないということで圧力の強化に邁進していくということなんです。