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スタッフ解任、新たな移民規制、そしてロシアと北朝鮮、色々あったトランプ政権。

8月5日放送  「蓮見孝之まとめて!土曜日」(TBSラジオ)

 

蓮見:今週はアメリカトランプ政権の内政そして外交で様々な動きがありました。

もはや、多少皮肉を込めて言いますと、何人目かわからないという状況で、またトランプ大統領の下からスタッフが離れることになりました。

そして新たな移民規制法案を発表。

一方、外交問題では、対北朝鮮・対ロシアをめぐる動きもありました。

ということで、ニューヨーク在住のジャーナリスト津山恵子さんに詳しくお話を伺います。

まずは、ホワイトハウスの広報部長スカラムッチさんが就任しましてわずか10日で電撃解任されたニュースからですけど、こうしたことは過去にもあったんでしょうか。

かなり短すぎましたよね、期間が。

 

津山:記憶する限りでは過去にはなかったような気がします。

それから、短すぎるというのも事実なんですけど、あまりにもホワイトハウスの中が混乱しているということが明らかになりすぎているので、それが逆におかしいなという感じを醸し出していると思います。

 

蓮見:ホワイトハウスを含めて、トランプさんの周囲で決めるべき要職が決まっていないものがたくさんあるということなんですが、そのあたりは全然動きはないですか。

 

津山:実は新政権が発足しますと、ワシントンの中で4000人ぐらいのポリティカルアポインティといって、大統領とホワイトハウスが決めなくてはいけない要職ポストがあるんですけど、トランプさんの場合は、今のところ数百人しか決まっていないということなんです。

しかも、例えば国務省であれば、長官と副長官しか決まっていなくて、局長・部長・課長クラスが全部代行であるとかあるいは空席という、日本で言うと外務省がそういう状態で行政を行なっているという状況なんです。

ですから、ホワイトハウスの中だけではなく、本当にワシントン全体が混乱状態と言っていいと思います。

 

蓮見:そして今回電撃解任となったスカラムッチさんは、ご自身はどういう反応を示しているんでしょうか。

 

津山:彼からのコメントというのはあまり出ていないんですけど、今回の解任というのは、トランプさんというより新しく大統領補佐官となったジョン・ケリーさん、この方はアメリカ軍の大将なんですけど、この方がスカラムッチさんはダメだと判断したことが報道されています。

ケリーさんは、国土保安長官から横滑りしたんですけど、大将ということで軍人なので、非常に厳しく混乱状態のホワイトハウスを立て直そうとしているようなんです。

なので、伝え聞くところによりますと、ケリーさんの前では、トランプさんでさえ、いい子に振舞っているというような話が流れてきています。

ですから、スカラムッチさんの解任というのも、大統領は多分反対できなっかたんだと思います。

 

蓮見:これだけ解任劇が続きますと、津山さんも取材していてあまり驚かなくなったんじゃないですか。

 

津山:私は職業柄ホワイトハウスで起きていることに麻痺しないようにしようと思っています。

本当にニュースが出ると、いかにそれが異常なことであるかというのを認識するようにしているんですけど、でもおそらく一般の市民の方はもう呆れていて、また麻痺していて、驚かなくなっているのではないでしょうか。

 

蓮見:一方でトランプ大統領は、合法的な移民の入国について規制を強化する法案を発表しました。

これはどのような中身なんでしょうか。

 

津山:これは日本から来ている方も含めて、永住権グリーンカードと通称呼ばれているものですけど、この発行を減らすというのを法案の柱にしています。

グリーンカードというのは、現在年間で100万人ほどに発行されていますけど、これをおそらく半減するというような内容なんです。

その理由というのは、トランプさんによると、「これからは英語を話してアメリカの経済に貢献できる高い技能を持つ申請者に優先的にグリーンカードを発行する。」と言っています。

ですから、直近ではバーテンダーをしていたアイルランド人の人がグリーンカードを取得したんですけど、彼は英語は話せると思うんですけど、おそらく後半の部分の高い技能を持つ申請者というところで、2年か3年後だったら彼は取れなかったのではないかと身につまされる思いです。

 

蓮見:移民の規制を強化する理由、それから反発というのも色々考えられますよね。

 

津山:移民の規制を強化する理由というのは、トランプさんは選挙戦の間から、移民そして難民がアメリカの市民の雇用を奪って、またこれは間違った情報なんですけど、難民は特に変な病気をアメリカに持ってくるという不正確な分析を示して、白人の雇用があまりない、あるいは中間階級の支持を得て来たんです。

ですから、この人達に約束した公約を果たすための法案です。

ただ、ご存知のように、アメリカというのは本当に移民が人口の増加を支えて、そして日本とは異なって、経済成長を遂げて来たという国家なので、国の姿自身を変えかねない政策あるいは法案なんです。

それからトランプさん自身も、これから審議しなければならない議員の方たちも、皆移民だったわけなんです。

ですから、これからこの法案に対しては、反発もあり、立法化というのはなかなか不透明ではないかと思います。

 

蓮見:それから外交問題についても触れていただきたいんですが、まずはロシア・北朝鮮とありますけど、対北朝鮮に関して、これについては、ティラーソン国務長官がミサイル開発を認めないとしつつも、アメリカは北朝鮮の敵ではないとして対話を呼びかけているんですが、この発言の意図はどのように考えますか。

 

津山:これは、アメリカの政府あるいは他の国家も、政府としてまたは国家として、平和的に圧力をかけて、北朝鮮に核あるいはミサイルの開発を放棄させようというのをずっと目指して来たわけですね。

ですから、これは伝統的な外交政策を踏襲した発言だと思います。

このティラーソン国務長官という方は、あまりトランプさんとうまくいっていないので、なかなか今回のように記者団に対して直接話しかけるということがこれまであまりなかったんですね。

ですから、今回の発言は非常に重要視されて報道されるということになりました。

一方、トランプさんの方は、相変わらずツイッターなどで、北朝鮮への威嚇を続けています。

 

蓮見:それから、対ロシアでも動きがありましたよね。

制裁法案ということなんですが、これの中身についてはどういったふうに伝えられていますか。

 

津山:これは、オバマさんが大統領だった2014年から始まった制裁というのがあって、それをさらに強化しますという内容です。

ですから、これまでに通商で非常に重要だったエネルギーであるとか、食料などの物資や国内の産業には、非常に大きな影響がある内容だと思います。

 

蓮見:こうした中で、トランプ大統領のいわゆるロシア疑惑問題、モラー特別検察官が大陪審を設置したという報道があるんですけど、これはどういうことなんでしょうか。

 

津山:モラー特別検察官あるいはFBIそして上下院の特別委員会が、捜査あるいは調査をしている、ロシアゲートというのは、黒と出るのか白と出るのかわからないということになっているんですね。

捜査の過程は一切明らかにされていません。

でも、今回この大陪審を招集したというのは、おそらく黒の可能性が強いのではないかということで設置をしたのではないかと報じられています。

 

蓮見:ニューヨーク在住のジャーナリスト津山恵子さんにお話を伺いました。