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性犯罪を厳罰化。改正刑法が成立 荻上チキSession-22

TBSラジオ荻上チキSession-22」6月16日放送

 

性犯罪を厳罰化。改正刑法が成立

性犯罪の厳罰化などを盛り込んだ改正刑法が今日(6月16日)参議院で全会一致で可決成立しました。

改正刑法では、強姦罪の名称を強制性交等罪に変更し、被害者を女性に限っている現在の規定を見直して、性別に関わらず、被害者になりうるとしています。

また罰則を厳しくして、現在の強姦罪の法定刑の下限を懲役3年から5年に引き上げるほか、強姦罪や強制わいせつ罪などで起訴するのに、被害者の告訴が必要となる親告罪の規定を削除、さらに親などがその影響力を利用して18歳未満の子供にわいせつな行為をした場合に、暴行や脅迫がなくても罪に問うことができる、看護者わいせつ罪などを新たに設けます。

一方で、被害者団体などが強く求めていた時効の停止や延長は盛り込まれず、また依然として、強姦罪の成立には被害者の抵抗を著しく困難にする暴行や脅迫の立証が必要であるなど、課題も多く残されています。

 

荻上チキ:性犯罪の議論が、具体的に改正されて、強姦罪も強制性交等罪になるということになりました。

これまでは統計上も女性の被害者しかカウントしていなかったわけですけど、具体的な被害の実相に合わせて法律を改正したということです。

だけど、まだまだ不十分なところがありまして、原稿にもあったように、暴行や脅迫が立証されなければ、この罪の証明にはならないということは削除して欲しいと、つまり本人の望まない仕方で行われた性行為というものは、強制性交等罪になるというふうにしたほうがいいと、なぜならいろんなシチュエーションが考えられるからだと。

同意がない状況は他にも考えられますよね、ということで申し立てを、被害者や支援者の団体がしているんですけど、それは今回は盛り込まれませんでした。

いろいろと時間が限られていて、こういったことを盛り込むような議論をしていると、今国会から溢れるかもしれない、という判断も、もしかしたらあったのかもしれません。

あるいは、そうしたところまで議論をすると、具体的な警察の捜査のオペレーションが大きく変わるということになるわけですね。

つまり、立証対象が変わる、ということになるので、捜査対象も変わる、ということになる。

そのことから、慎重になったのかもしれません。

一方で、共謀罪では、非常に多くの捜査対象をかくだいすることを通していたけど、こちらの具体的に被害者が求めているものについては、まだまだ道半ばということのバランスも問われていたりするわけですね。

同じ委員会で議論されていましたから。

この性犯罪の問題は、具体的な罪状によって実体は大きく変わるものではあるんですが、より被害者の実相に寄り添うためには、捜査機関が実際に被害の申告を受けた時に、適切に聞き取りをすると、本人にストレスにならないような仕方で、本人の負荷を警察側が新たに加えることがないようにする。

そうした現場の指導もより徹底していくことがないと、法律だけでは不十分です。

法律プラス運用、これを是非やって欲しいです。