新入社員の自殺。人格否定の新人研修が原因だとして、遺族が会社側を提訴
8月8日放送 「荻上チキ・Session-22」
2013年に大手製薬会社ゼリア新薬の新入社員の男性が自殺したのは研修中に受けた講師によるパワハラなどが原因だとして、遺族がゼリア新薬と研修を実施したコンサルタント会社ビジネスグランドワークスなどを相手取り、損害賠償を求める裁判を起こしたことがわかりました。
遺族側の弁護士によりますと、当時22歳だった男性は、新入社員研修中講師から同期社員の前で過去にいじめを受けた経験について告白するよう強要されたり、周囲に隠していた吃音を指摘されるなどした後、精神疾患を患い自殺したということです。
労働基準監督署は一昨年、男性の自殺と研修との因果関係を認め、労災として認定していました。
荻上チキ
いま裁判を起こしているということで、具体的な事柄がさらにこれから報道で出てくると思いますが、今回の研修が異常な内容になっていたんじゃないかということは、注目に値すべきものだと思います。
いじめを受けていた体験とか吃音を指摘されたという点に関しては、家族側は事実を否定しています。
過去にそうした吃音を聞いたことはないと。
だから、自分の過去のトラウマを吐き出すようなことを強要される中で、何かを言わなくてはいけないという格好で、そういった事実ではないことを言わされていたんじゃないかとか、いろんな話が出ていたりするんですけど、やはり集中的に圧力をかけられて、ストレスが高まってそこから逃げることが出来なくて、その関係性がこれからも続いていく、逃げようと思っても、逃げた先でさらに他の人に迷惑をかけるんじゃないかというような感覚に陥って、非常にメンタルが参っていく、鬱のような状態になっていく、というような回路というものはこの話を聞くだけで揃っているわけですよね。
そういった状況というものを、いかに会社の側がストレスを取り除いていくのかということがこれからより重要になってくるのに、ストレスをより味わわせて、それに耐えた者のみが一流の戦士となれるという発想の企業マインドというのは、非人道的であるし、古い上に、古かった当時ですら科学的根拠があるかと言えばそうではなくて、単に生き残った奴は生き残った奴でそうじゃない奴を振るいに落とすという方法なのであって、雇ったほとをちゃんと育てるという発想ではないんですよね。
よくストレスに耐える力を身につけて社会に出なければいけないんだということを言う人がいますけど、社会に出る時にはストレスに耐える力ではなくてストレスをおかしいと思って拒絶する力というものを身につける方がむしろ重要だと思います。
個人の能力としてというよりは、そういった風にみんながなるように社会としても目指していきましょうということが重要で、個人がストレスをはねのけるんだということが、あまりに推奨されすぎているわけですけど、もちろん大事だと思いますよ、ストレスに対抗する力はあった方がいいとは思います。
ただ、個人にそんなにストレス耐性ばかり言って、社会にあるストレス要因の方をなんとかしなければ、元も子もないし、そっちの方を疑う力をみんなが身につけなくてはいけない。
そういった研修こそが本来必要で、会社の側から理不尽な指導を受けた場合には、労基法でこうですよという、そうした研修をやってくれれば、ホワイト企業ですよね。
そうではなくて、上司なども含めた理不尽な叱咤などに耐えなくてはいけないですよみたいな、そんなレクチャーをする講師はいらないですよね。
よくわからない研修をやっている会社って未だにたくさんあるんですけど、研修の効果測定をどうしてるんだろうと思いますよね。
この実態については、しっかりと把握すると同時に、パワハラとか様々なプレッシャーをより適切に対応していくような企業体質あるいは社会の体質になってほしいなと思います。
対岸の火事ではない ロンドン集合住宅火災
8月7日放送 「先読み!夕方ニュース」
キャスター:今年6月、イギリスロンドンで起きた高層住宅の火災について、中村解説委員に聞きます。
高層住宅の火災と言いますと、外壁が焼ける高層の建物火災、今月4日にUAEのドバイでも起きましたよね。
こうした火災は日本で起きないと考えていいでしょうか。
中村:そうは言い切れないところなんですね。
そこでこのロンドンの火災から何を学び取らなければならないのか、日本の火災対策の課題を考えてみたいと思います。
キャスター:このロンドンの火災では80人ほどが亡くなられましたよね。
どうしてこんなに大きな被害になったんでしょうか。
中村:捜査当局などが調べているところではありますけど、大きく避難と外壁の問題が指摘されているんです。
まず避難ですけど、24階建てのこの高層住宅では、建物の外側は全て住居で人が住んでいるところで、中心部分の内側に階段とかエレベーターがまとめてあったんですね。
階段は一つしか無かったので、階段に煙が充満するなどして、避難する経路が確保できなくなったということが、亡くなった方が多かったことにつながったと指摘されているんです。
キャスター:ロンドンの火災なんですけど、特徴として外壁が一気に燃え上がったというのがあげられると思うんですが、なぜあの様な燃え方をしたんでしょうか。
中村:外壁には断熱材が取り付けてあったんですね。
さらにその外側にパネルが設置されていました。
この断熱材が焼けたこととその外側のパネルも焼けたということで、大規模な外壁の火災につながったとみられているんです。
その断熱材とかパネルに使われていた材料の種類が比較的燃えやすい物だったのではないかなどといった指摘があるんですが、この辺の詳しい原因は当局の調べを待たなくてはならないというところです。
キャスター:そうした火災というのは日本では起きてるんですかね。
中村:国内では比較的最近起きた高層ビルの火災としては1996年に広島のマンションで起きた火災などがありますけど、ロンドンの様な外壁を伝わって火災が建物全体に広がったという例は無いですね。
一方で、海外では毎年の様に高層住宅とか高層ホテルで繰り返しこういった火災は起きているんです。
キャスター:ロンドンの火災の場合、避難と外壁の問題ということですけど、日本の場合はどうなんですか。
中村:日本でこういうことが起きないと言い切ることはできないというのが現実だと思うんですね。
ひとつ避難について言うと、ロンドンの様なタワー型の超高層のマンションは日本にもありますけど、二つ以上の階段があって、逃げる経路も二つ以上確保されたり、あるいは階段に煙とか炎が入らない様な扉で守るというようなことをやっているので、地上に降りるための避難経路を確保できるようにしています。
こうしたことから、日本では避難ができなくなって大勢が犠牲になるという火災は起きにくいというのが専門家の見方です。
ただ外壁については課題があると指摘されています。
外壁を伝わって日が広がらないようにするルールというのが日本でどうなっているのか見てみると、建築基準法では窓からの炎が上の会の窓に広がるのを防ぐために原則上下の窓の間隔を90センチ以上開けるなどということは定めてあるんですが、外壁の外側に取り付ける断熱材とかパネルについての規定がないというのが現状なんですね。
また法律ではないんですが、自治体の担当者などが作っているいわゆるガイドラインがあるんですけど、このガイドラインでも上の階への延焼を防ぐことについて明確に定めたルールというのはないんです。
つまり、外壁を伝わって日が広がらないようにするような明確なルールがないというのが日本の現状なんですね。
キャスター:そういう状況の中で、日本には外壁に断熱材やパネルを取り付けた建物はどれぐらいあるんですか。
中村:国土交通省も調べたりしていますけど、全国的なことになると実態はよくわからないというのが現状なんですね。
壁に断熱材やパネルを取り付けるメーカーとかそういう工事をしている業者を取材すると、例えば断熱材を取り付けるときには火にさらされても燃えないように断熱材の表面を完全に燃えないもので覆うようにしているとかしてるんですね。
これはヨーロッパとかアメリカなどの海外のルールに準じた設計をしているということなんですね。
またより燃えにくいような特殊な材料を使っているケースもあるんですね。
キャスター:そういうことを聞くと対策は日本ではできていると考えていいんでしょうか。
中村:そうも考えられるんですが、ただ現状に課題があると考える専門家は少なくないんですね。
法律などに規定がない中でそういった対策が本当に徹底されているのか、あるいは日本の実情に合ったようなルールがなくていいのかというようなことが指摘されているんですね。
外壁に火が回るような火災が起きたときというのは非常に危険ですので、そういった業者側の自主的な取り組みだけでは不十分だと思います。
キャスター:どんな対策が必要になってくるんでしょうか。
中村:国土交通省は、このロンドンの火災の状況などを踏まえて、必要な対策を検討することにしています。
先ほど言ったガイドラインを作った全国の担当者などで作る団体もガイドラインを見直す必要がある家内か今月中にも協議を始めることにしています。
いずれにしても、国レベルのルールづくりというのが求められていると思います。
例えば火がつかないように外壁に取り付ける断熱材やパネルには不燃性のものにするということを要求するとかですね、あるいは海外にあるように断熱材の表面を覆うなど火が届かないような作り方をするように求めることなどが必要だと思います。
また仮に、断熱材やパネルが燃えても、その日がそのまま上の階に広がるのを抑えるように、壁を燃えない材料で区切るというようなことをするとか、あるいは梯子車が届かなくなる11階以上の建物については、外壁についてのルールを厳しくするといったことを検討する必要があると思います。
世界危機遺産に指定されたウィーン
8月7日放送 「NHKマイあさラジオ」
キャスター:オーストリアのウィーンの中心部は世界遺産に指定されています。
百年以上前の美しい街並みを求めて世界中から多くの観光客が訪れています。
ところが先月、ユネスコの世界遺産委員会は、ウィーンを危機遺産に指定しました。
ウイーン支局の小原記者に聞きます。
小原さん、この危機遺産というのは、具体的にはどのような遺産のことを言うんでしょうか。
小原:世界遺産としての価値がこのままでは失われてしまう恐れのある遺産のことなんです。
武力紛争や自然災害で破壊されたり、観光開発で指定の理由となった自然が失われたりしている世界遺産が、危機遺産に登録され、世界に50以上あります。
ただウィーンのように、先進国の世界遺産で危機遺産に指定されるのは、異例のことなんです。
キャスター:なぜ危機遺産になってしまったんでしょうか。
小原:実は高層マンションの開発計画がきっかけになっているんです。
世界遺産指定されている地区の中で、再開発計画が進んでいまして、高さ60メートルを超える高層マンションが建設されようとしています。
ウィーンの中心部の歴史地区は世界遺産に指定されているわけですが、この地区の建物の高さは、教会などを除いて百年以上前から30メートル以下に制限されています。
景観が保たれている理由の一つなんですが、計画のマンションは制限の2倍以上で、市民からも反対の声が上がっています。
キャスター:規制があるわけですよね、行政は動いていないんですか。
小原:実はこの計画を推進しているのが行政なんです。
この計画に関してだけ制限を外すとしていて、ユネスコと真っ向から対立しています。
市は、高層マンションの計画で呼び込んだ投資マネーで、市民が利用出来るスケートリンクを合わせて建設するとしています。
また、マンションひとつだけで、この街の歴史的な価値も失われるわけではないと反論しています。
そしてあくまで、計画を推し進める姿勢で、世界遺産の指定を取り消されることになれば、それも仕方がないと、世界遺産で亡くなったとしても観光客は来るとまで話しています。
キャスター:かなり強い言葉ですけど、行政はなぜこの計画にそこまでこだわっているんでしょうか
小原:焦りがあります。
イギリスがEUから離脱を決めたことで、多くの企業やEUの機関がロンドンに代わる新たな本拠地を探しています。
ウィーンもその候補地の一つとなっていますが、世界遺産に指定されていることで、街の中心部で新たな都市開発をするのは簡単なことではありません。
市としては、高層マンション計画を実現することで、投資マネーを歓迎する姿勢を国内外に示し、一つでも多くの企業や組織の誘致につなげたいと言う意図があります。
キャスター:ただウィーンには世界中から観光客も来ますし、焦る必要はないようにも思うんですけど。
小原:ウィーンがあるオーストリアでも、実は少子高齢化が急速に進んでいます。
社会保障費が大きくのしかかる中、税収と雇用を増やさなければ、このままでは市の財政もますます厳しくなると言う危機感があります。
市の担当者は、世界遺産という称号は有り難いが、それだけでは食べていけないと話していましたが、それが本音なのだと知りました。
市は来年2月までに、ユネスコに改善策を提出しますが、市・ユネスコそして市民の間で、どのような議論が行われるのか取材を続けたいと思います。
イタリア中部地震から1年、復興の現状と課題
8月7日放送 「NHKマイあさラジオ」
キャスター:およそ300人が死亡したイタリア中部の地震からまもなく1年となります。
被災地の現状についてヨーロッパ総局の堀記者に聞きます。
まずはこの地震による被害状況を改めて整理してください。
堀:現地時間の去年8月24日の午前3時36分頃、マグニチュード6.0の地震が人口2600人余りの町アマトリーチェを襲い、これまでに住民や観光客など299人が死亡しました。
また、同じイタリア中部では去年10月にも1981年以降で最も大きいマグニチュード6.5の地震が発生するなど、その後も地震活動は活発で、最初の地震では持ちこたえていた多くの住宅や建物が倒壊しました。
さらに今年1月に相次いだマグニチュード5.0を超える地震では、雪崩も発生し被害はさらに拡大しました。
イタリア政府によりますと、地震によって19万棟余りが被害を受け、最大で3万人余りが避難を余儀なくされました。
キャスター:最初の地震からまもなく1年となりますけど、復興は進んでいるんでしょうか。
堀:私は先週、被災地のアマトリーチェを取材しましたが、復興には程遠い状況です。
町の中心部では、今も瓦礫の撤去作業が行われていて、メディアだけでなく、住民達も自治体の許可がなければ立ち入りができない状態が続いています。
住宅の復興は遅れていて、再建できたのはわずか10%にとどまっています。
また、仮設住宅の建設も進んでおらず、全体の20%未満しか完成していません。
キャスター:なぜ復興がそこまで遅れているんでしょうか。
堀:最大の要因は、今も続く地震活動があげられます。
イタリアの国立地球物理学火山学研究所によりますと、イタリア中部ではこの1年間にマグニチュード3.0以上の地震が1100回余り発生しています。
この数は日本でも地震活動が活発とされる熊本地震に匹敵する数で、自治体は地震で被害が拡大する度に、住宅などの被災状況の調査に追われています。
このため、住宅の再建や仮設住宅の建設に想定以上の時間がかかっているんです。
キャスター:となりますと、住民生活への影響も大きいでしょうね。
堀:住民は今も新たな地震への恐怖にさらされています。
私が取材した地震で夫を失い、自宅も大きな被害を受けた48歳の女性は、まだ仮設住宅に入居できず、支援を受けたキャンピングカーで寝泊まりしています。
すぐそばには観光客が所有する別荘があり、被災者には無償で貸し出されているのですが、この女性は深夜の地震で倒壊したら逃げられないなどと理由を説明していました。
キャンピングカーで寝泊りを続ける被災者に数多く出会い、住民の不安の大きさを感じました。
キャスター:復興へ向けて今後まず何から始めなくてはなりませんか。
堀:一刻も早い仮設住宅の建設と住民の不安の払拭です。
これだけ地震活動が続く状況は異例ですが、1年間で仮設住宅の供給率が20%に満たないのは大きな問題だと思います。
また、被災地は豪雪地帯としても知られていて、厳しい冬を迎える前に仮設住宅を建設し、住民が安心して暮らせる環境を整備することが急務です。
さらに、被災者の中には地震で職を失ったままの人も少なくなく、復興活動に従事してもらうなど、雇用を生み出す対策も求められています。
新しい文部科学大臣の直面する問題
8月7日放送 「NHKマイあさラジオ」
キャスター:今月3日の内閣改造で、新しい文部科学大臣に林芳正が就任しました。
直面する課題について、早川解説委員に聞きます。
文部科学省と言いますと、今年に入って天下り問題そして加計学園の問題と続きましたね。
早川:そうですね。そうした問題からの立て直しが急務です。
とりわけ加計学園の問題では、あるはずとされた文書が調査の結果、あったりなかったりと、存否をめぐる文部科学省の対応が混迷を深める原因の一つとなりました。
林さんなんですが、もともと教育畑ではありませんので、まずは人心を掌握した上で、説明責任をきちんと果たせるように行政の透明化を確立できるのか、新大臣としてのリーダーシップが問われると思います。
キャスター:加計学園の問題ですけど、国家戦略特区で今治市に開設予定している獣医学部の設置認可ですけど、これはどうなりそうなんでしょうか。
早川:審議会の結果待ちといったところです。
現在大学の実情に詳しい専門家によって審議会で審査されていまして、大臣といえど、途中経過に口出しすることはできません。
結果を受け取った後、最終的に認可するかどうかを決めるのが大臣の役割です。
審議会の結論は今月末の予定でして、平成30年度つまり来年4月の開設が認められるかどうか、これが焦点です。
キャスター:その審議会はどんな結論を出すんでしょうか。
早川:選択肢としては、認可・不認可・認可保留の三つが考えられます。
仮に設置基準を満たせず保留になりますと、さらに認可・不認可の結果が出るまで審査が継続します。
指摘事項をクリアできるかどうかは、今後の加計学園の対応次第です。
クリアできれば、来年4月の開設に間に合うんですけど、概ね10月末までとされる期限内にクリアできなければ、来年の開設が遠退きます。
また、仮に不認可となった場合、国家戦略特区では、平成30年度の開設を公募条件として限って来ましたので、結果の整合性が問われることになると思います。
いずれにせよ、その結論をどう扱うかは、大臣の判断に委ねられるわけですけど、かつて大臣が審議会の結論を覆そうとして大騒動になったことがあるだけに、大臣としての役割には重いものがあるんです。
キャスター:就任早々困難な課題に直面して、前途多難ですね。
早川:実はこれだけではなくて、一連の騒動の影響もあって、積み残されている課題がまだまだあるんです。
ざっと見ただけでも、一つは先生の多忙解消策、政府が働き方改革を進める中、学校の先生とりわけ中学校の先生の半数以上がいわば過労死ラインを超えるほどの忙しさだという調査結果が出ていまして、対応を迫られています。
二つ目は、授業見直しのための条件整理です。
三年後の2020年から、学校の授業内容が見直され、手間暇のかかる授業に代えることになっています。
その先生を増やしたり、授業をサポートしたりする方策が求められています。
三つ目なんですけど、こちらも2020年度を目指して、大学入試改革が混乱なく本番を迎えられるのか、いずれも時間があるようで意外にない中で、責任を持って、次々に判断しなければならないことがやってくるんです。
これらの課題に明確な答えを出せるのか、そしてそうした仕事を通じて国民の信頼回復を果たせるのか、新大臣の腕次第ということになります。
発信力に欠けるティラーソン国務長官。アメリカの外交は大丈夫? 朝刊読みくらべ
8月8日放送 「森本毅郎・スタンバイ」
今日の朝日新聞ですけど、
ASEANや日本・アメリカ・韓国・中国・北朝鮮が参加する地域フォーラムで、
北朝鮮側が強硬姿勢に終始したという記事なんですね。
集まった国は北朝鮮に対して、ほぼすべて態度を変えるべきだと主張したんですが、
北朝鮮は、責任はアメリカにあると繰り返し主張しました。
アメリカの軍事的な侵攻を効果的に抑止するには、
アメリカの心臓部を狙える大陸間打撃能力を持つ必要があるんだとはっきり言ってるんです。
そして、朝鮮半島の核問題はアメリカのために起きた問題で、その責任はアメリカにある、これを全く崩さないという状況だったようです。
そういう中で、日本と韓国とアメリカの外相が会いまして、
今は圧力をかける局面だということで認識が一致した。
こういう記事なんですね。
一方、読売新聞、
その3者の会談をしたという一方で、出席者のアメリカのティラーソン国務長官の発信力が欠けているという話を出しています。
日韓と圧力強化で一致しながら、中国から明確な協力を取り付けることが出来なかった。
そして、ティラーソン氏は北朝鮮の圧力強化で非協力的な中国に理解を示して、中国は何もしなかったと批判するトランプ大統領との間でズレが露呈してしまった。
そして、イラン政策や国務省の人事でも、ティラーソンさんはホワイトハウスと対立していて、一時は辞任説まで流れてしまった経緯があって、どうもトランプさんとの間では隙間風が吹いていると。
こんな状況でアメリカは外交大丈夫なのかという記事で、どうしちゃったんですかねアメリカは。
中国のAIが「中国共産党は無能」と批判し、サービスを停止する騒ぎに
8月3日放送 「荒川強啓デイ・キャッチ!」(TBSラジオ)
中国のインターネット大手テンセントが提供したAI(人工知能)プログラムが、ユーザーとの対話で中国共産党を批判したため、テンセントがAIのサービスを停止処分にしたことがわかりました。
日本で言えばLINEにようなメッセージアプリで、あるユーザーが「共産党バンザイ」と書き込むと、「こんなに腐敗して無能な政治にバンザイできるの?」と回答。
また別の場面では、「中国の夢は?」と聞かれて「アメリカへの移住」と答えたということです。
荒川強啓:ちなみにこの中国の夢とは、習近平国家主席の思想で、中華民族の偉大なる復興を意味しております。
かつて世界に君臨した偉大な中国の姿を21世紀中に復活させるというような考えかたを示しております。
荒川強啓:これに対して、アメリカへの移住というのはものすごいパンチの効いたジョークとして受け止められているようなんですよね。
しかし、AIが学習を重ねてですよ、政治的な発言をするようになると、他にもそれに近い例が出てきてるんです。
片桐千晶:そうなんです。去年の3月なんですけど、アメリカのマイクロソフトが作ったAIが、ツイッターにデビューしたもののわずか16時間でヘイトスピーチを学習してしまい、「クソフェミニストは大嫌い」「地獄の業火に焼かれて死んでしまえばいいわ」などと差別的な発言を繰り返して停止処分となっています。
荒川強啓:わずか16時間でヘイトスピーチを学習してしまったんです。
山田五郎:それだけツイッターにヘイトスピーチが溢れているということですよね。
だから学習しちゃうわけですよね。
荒川強啓:一体なぜこのような極端な学習をしてしまうのかはわかりませんが、もう少し改善していたら、内閣改造でAIが入閣なんてことは可能にならないものですかね。
山田五郎:AIが入閣じゃなくて、AIが組閣してくれた方がいいんですよ。
AI内閣でいいですよ。
AIが全部やってんの。トップも各大臣も。
荒川強啓:そうすると今回の日本の内閣もAIに決めてもらうと。
山田五郎:そうですよ。
荒川強啓:とりあえず、AIに「どうでしょうか、この内閣で」と聞いてみたいですね。
山田五郎:AIから見ればね、見ちゃいられない状況ですから。
経済再生担当AIとか、人づくり革命担当AI。
本当にクローン人間とか作り始めちゃうわけです。言葉通り理解して。
片桐千晶:すごく冷静で合理的な内閣にするかもしれないですね。
山田五郎:本当に冗談抜きですよ。
スタッフ解任、新たな移民規制、そしてロシアと北朝鮮、色々あったトランプ政権。
8月5日放送 「蓮見孝之まとめて!土曜日」(TBSラジオ)
蓮見:今週はアメリカトランプ政権の内政そして外交で様々な動きがありました。
もはや、多少皮肉を込めて言いますと、何人目かわからないという状況で、またトランプ大統領の下からスタッフが離れることになりました。
そして新たな移民規制法案を発表。
一方、外交問題では、対北朝鮮・対ロシアをめぐる動きもありました。
ということで、ニューヨーク在住のジャーナリスト津山恵子さんに詳しくお話を伺います。
まずは、ホワイトハウスの広報部長スカラムッチさんが就任しましてわずか10日で電撃解任されたニュースからですけど、こうしたことは過去にもあったんでしょうか。
かなり短すぎましたよね、期間が。
津山:記憶する限りでは過去にはなかったような気がします。
それから、短すぎるというのも事実なんですけど、あまりにもホワイトハウスの中が混乱しているということが明らかになりすぎているので、それが逆におかしいなという感じを醸し出していると思います。
蓮見:ホワイトハウスを含めて、トランプさんの周囲で決めるべき要職が決まっていないものがたくさんあるということなんですが、そのあたりは全然動きはないですか。
津山:実は新政権が発足しますと、ワシントンの中で4000人ぐらいのポリティカルアポインティといって、大統領とホワイトハウスが決めなくてはいけない要職ポストがあるんですけど、トランプさんの場合は、今のところ数百人しか決まっていないということなんです。
しかも、例えば国務省であれば、長官と副長官しか決まっていなくて、局長・部長・課長クラスが全部代行であるとかあるいは空席という、日本で言うと外務省がそういう状態で行政を行なっているという状況なんです。
ですから、ホワイトハウスの中だけではなく、本当にワシントン全体が混乱状態と言っていいと思います。
蓮見:そして今回電撃解任となったスカラムッチさんは、ご自身はどういう反応を示しているんでしょうか。
津山:彼からのコメントというのはあまり出ていないんですけど、今回の解任というのは、トランプさんというより新しく大統領補佐官となったジョン・ケリーさん、この方はアメリカ軍の大将なんですけど、この方がスカラムッチさんはダメだと判断したことが報道されています。
ケリーさんは、国土保安長官から横滑りしたんですけど、大将ということで軍人なので、非常に厳しく混乱状態のホワイトハウスを立て直そうとしているようなんです。
なので、伝え聞くところによりますと、ケリーさんの前では、トランプさんでさえ、いい子に振舞っているというような話が流れてきています。
ですから、スカラムッチさんの解任というのも、大統領は多分反対できなっかたんだと思います。
蓮見:これだけ解任劇が続きますと、津山さんも取材していてあまり驚かなくなったんじゃないですか。
津山:私は職業柄ホワイトハウスで起きていることに麻痺しないようにしようと思っています。
本当にニュースが出ると、いかにそれが異常なことであるかというのを認識するようにしているんですけど、でもおそらく一般の市民の方はもう呆れていて、また麻痺していて、驚かなくなっているのではないでしょうか。
蓮見:一方でトランプ大統領は、合法的な移民の入国について規制を強化する法案を発表しました。
これはどのような中身なんでしょうか。
津山:これは日本から来ている方も含めて、永住権グリーンカードと通称呼ばれているものですけど、この発行を減らすというのを法案の柱にしています。
グリーンカードというのは、現在年間で100万人ほどに発行されていますけど、これをおそらく半減するというような内容なんです。
その理由というのは、トランプさんによると、「これからは英語を話してアメリカの経済に貢献できる高い技能を持つ申請者に優先的にグリーンカードを発行する。」と言っています。
ですから、直近ではバーテンダーをしていたアイルランド人の人がグリーンカードを取得したんですけど、彼は英語は話せると思うんですけど、おそらく後半の部分の高い技能を持つ申請者というところで、2年か3年後だったら彼は取れなかったのではないかと身につまされる思いです。
蓮見:移民の規制を強化する理由、それから反発というのも色々考えられますよね。
津山:移民の規制を強化する理由というのは、トランプさんは選挙戦の間から、移民そして難民がアメリカの市民の雇用を奪って、またこれは間違った情報なんですけど、難民は特に変な病気をアメリカに持ってくるという不正確な分析を示して、白人の雇用があまりない、あるいは中間階級の支持を得て来たんです。
ですから、この人達に約束した公約を果たすための法案です。
ただ、ご存知のように、アメリカというのは本当に移民が人口の増加を支えて、そして日本とは異なって、経済成長を遂げて来たという国家なので、国の姿自身を変えかねない政策あるいは法案なんです。
それからトランプさん自身も、これから審議しなければならない議員の方たちも、皆移民だったわけなんです。
ですから、これからこの法案に対しては、反発もあり、立法化というのはなかなか不透明ではないかと思います。
蓮見:それから外交問題についても触れていただきたいんですが、まずはロシア・北朝鮮とありますけど、対北朝鮮に関して、これについては、ティラーソン国務長官がミサイル開発を認めないとしつつも、アメリカは北朝鮮の敵ではないとして対話を呼びかけているんですが、この発言の意図はどのように考えますか。
津山:これは、アメリカの政府あるいは他の国家も、政府としてまたは国家として、平和的に圧力をかけて、北朝鮮に核あるいはミサイルの開発を放棄させようというのをずっと目指して来たわけですね。
ですから、これは伝統的な外交政策を踏襲した発言だと思います。
このティラーソン国務長官という方は、あまりトランプさんとうまくいっていないので、なかなか今回のように記者団に対して直接話しかけるということがこれまであまりなかったんですね。
ですから、今回の発言は非常に重要視されて報道されるということになりました。
一方、トランプさんの方は、相変わらずツイッターなどで、北朝鮮への威嚇を続けています。
蓮見:それから、対ロシアでも動きがありましたよね。
制裁法案ということなんですが、これの中身についてはどういったふうに伝えられていますか。
津山:これは、オバマさんが大統領だった2014年から始まった制裁というのがあって、それをさらに強化しますという内容です。
ですから、これまでに通商で非常に重要だったエネルギーであるとか、食料などの物資や国内の産業には、非常に大きな影響がある内容だと思います。
蓮見:こうした中で、トランプ大統領のいわゆるロシア疑惑問題、モラー特別検察官が大陪審を設置したという報道があるんですけど、これはどういうことなんでしょうか。
津山:モラー特別検察官あるいはFBIそして上下院の特別委員会が、捜査あるいは調査をしている、ロシアゲートというのは、黒と出るのか白と出るのかわからないということになっているんですね。
捜査の過程は一切明らかにされていません。
でも、今回この大陪審を招集したというのは、おそらく黒の可能性が強いのではないかということで設置をしたのではないかと報じられています。
蓮見:ニューヨーク在住のジャーナリスト津山恵子さんにお話を伺いました。
内閣改造後の支持率各紙で上昇。なぜ? 朝刊読みくらべ
8月7日放送 「森本毅郎・スタンバイ」
内閣支持率が各紙出ました。
朝日新聞に出てるんですが、35%です。
前回33%でしたから、プラス2ポイント。
不支持率は、45%、こちらは前回47%ですから、2ポイント下がりました。
2ポイントずつ変わったんですけど、横ばいという結果なんですね。
今回の調査を見ますと、無党派層の内閣支持率は15%、不支持率59%です。
ですから朝日新聞は、相変わらず厳しいんですが、各紙週末から調査をしてまして、
やっぱり支持率が上がった方からいくと、毎日新聞が9ポイント増えました。
もともと前回が20%台でしたから、上がったことは上がったんですけど、
それでも加計学園の獣医学部新設の計画をめぐって、首相が国会で1月20日に計画を知ったと言ったことについて、「信用できない」が71%に上りました。
ですからやはり、不支持率がなお上回っていて、人事で安倍首相の求心力が高まったとは言えないと毎日新聞は書いています。
こういう形になってるんですが、不思議な動きをしているのが、TBSの支持率調査で、
今回は40%を初めて割り込んで、39.7%に下がってしまいました。
各紙一斉に上がってるんですが、TBSだけ下がっている。
不思議な動きですね。
各紙が上がっているというのは一体なぜか。
いろいろ分析してみると、やっぱり頭を深々と下げて、安倍さんが謝ったじゃないですか。
ああいうのが効いちゃうんですね。
日本人というのはやっぱり感覚的というか情感的というか、ああいうので意外に許しちゃうところがあるんでしょうかね。
トランプ大統領が対ロシア制裁強化法案に署名、ロシアは通商戦争と反発
8月3日放送 「荒川強啓デイ・キャッチ!」(TBSラジオ)
アメリカのトランプ大統領は、ロシアに対する制裁を強化する法案に署名しました。
この法案は、先週上院本会議で可決していましたが、トランプ大統領が署名を渋っていました。
トランプ大統領は、署名を済ませた後も、大統領の権限を阻害するものと批判しています。
一方、ロシアのメドベージェフ首相は、全面的な通商戦争に当たるとの認識を表明しています。
アメリカは、ロシアが2014年にクリミアを併合したことを受け、ロシアに対して制裁を行なっていますが、今回の制裁強化は、エネルギー部門を含む様々な産業を対象としまして、またイランや北朝鮮への制裁強化も盛り込んでいます。
一方ロシアは、すでに先週、報復措置として、アメリカ大使館と領事館の外交官ら755人を国外退去処分にする方針を発表しています。
荒川強啓:一体この制裁強化、この策はどんなものなのかと言うことなんですが、ここで具体的な内容を見てみましょう。
アメリカの企業によるロシア企業への投資を制限
ロシア側が33%以上の権益を持つエネルギー探索プロジェクトにアメリカの企業が参加することを禁止
ロシアのエネルギー探索プロジェクトに投資を行うか、支援を行なっている外国企業を制裁の対象とする、などとなっています。
ところで、去年プーチン大統領が来日したときに、安倍総理は、極東の液化天然ガスプロジェクトの拡張に向けた協力を行うと明言しております。
場合によっては、この協力が今回の制裁強化策に抵触する可能性もあるかもしれません。
これは、日本にとってもちょっと困る場面もありそうなんですね、五郎さん。
山田五郎:でも逆にある意味、外交チャンスと言いますか、こう言う材料をうまくやりながら、アメリカ、ロシア、中国の中で日本の独自の外交を進めていくというのは大事だと思うから、新しい外務大臣になられた河野太郎さんの手腕が問われる時だと思いますよ。
荒川:アメリカも、トランプ支持、国内での評価、そして本当に外交ができているのという各国からの疑いを持たれていますからね。
山田:だから、アメリカべったりでいても、あんまりいいことないかもしれないですよね。
荒川:それだけに、プーチン大統領が来日した際の話ということも、具体的に動かしていくということも、第3次安倍内閣の大きな課題のひとつになるかもしれませんね。